弁護士に相談〜依頼から業務終了までの流れ|準備や注意点、相談のポイント

弁護士に相談〜依頼から業務終了までの流れ|準備や注意点、相談のポイント

 

弁護士への相談方法

 

 

弁護士に相談したいけど、初めてなので、全体の流れを知りたい。

弁護士への相談の流れ 

 

 

 

ご依頼からトラブル解決までの流れや、相談前に行っておいた方がいい準備についてご説明します。

 

※ここでは当事務所のケースに基づき、弁護士に相談してから業務が終了するまでの一般的な流れを記載しました。トラブルの種類や弁護士事務所によって内容が異なる場合もありますので、詳しくは相談する弁護士にご確認ください。

全体の流れ

弁護士事務所にて法律相談を行い、依頼から事案が終了するまでのおおまかな流れは、以下のとおりです。弁護士からみて、相談前に準備しておくべきことなども、併せてお伝えします。

1. 相談前のご準備

弁護士からみて、相談前に準備しておくべきことは、以下のとおりです。

  • 相談内容(トラブルなど)のまとめ・・何があったか、日付や場所を交えて経緯を簡単にまとめておいてください(箇条書きで充分です)(※以下に当事務所の文例を用意しています)
  • 相談内容(トラブルなど)に関係する資料収集・・・契約書のほか、手紙やメール・LINEのやり取りなどをまとめておいてください、他にも、客観的な資料があると、なおよいです(例:金銭の貸し借りの事案で、通帳の写し(振込をしている場合には日付などが特定できるため))
  • 現場の図面、関係する人物の関係図・・・手書きの簡単なもので充分です
  • 何に困っているか?どのように解決したいか?それが最善の解決の形なのか?という気持ちなどをまとめておく・・・「事案解決に向けての優先順位を決める」ということになります
  • ノート、筆記具・・・今後収集を依頼する資料についてなど、メモをお願いすることがあります
  • 写真付きの身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)・・・本人確認のため必要となります

トラブルの内容や、「こう解決したい」という希望をスムーズに伝えられるように、事前に準備しておくといいでしょう。相談内容や事案解決に向けての優先順位をまとめていくことで、ご自身の状況が整理されるというメリットもあります。

弁護士事務所によっては、あらかじめヒアリングシートや相談アンケート用紙が渡される場合があります。その場合には、まずは用紙の項目に従って、記入しておくとよいでしょう。

具体的なまとめ方としては、以下のようなものがあります(当事務所の問い合わせフォームの文例より)。

交通事故の例

『〇年〇月〇日に事故の被害に遭いました。事故態様は〇〇(追突、センターラインオーバーなど)でした。ドライブレコーダーはつけていませんでした。こちらの保険会社は〇〇、相手の保険会社は〇〇です。困っていることは〇〇です(たとえば、今後の手続が不安だ、治療打ち切りと言われている、保険担当者と話をしたくない、後遺障害の認定申請をしたい、など)。法律相談に都合がよい日は、〇月〇日〇時ころです』

債務整理の例

『〇社から〇円の借り入れがあります。(債権者数と金額)〇〇の手続を希望しています。(自己破産、個人再生、任意整理など)住宅ローンは、〇〇です。生命保険は、〇〇です。車両は、〇〇です。(ある、なしなど、実際の状況をご記載ください)法律相談に都合がよい日は、〇月〇日〇時ころです』

相続の例

『私の〇〇が、〇年〇月〇日に死亡しました。(祖父、祖母など)遺産は、〇〇です。(銀行預金、不動産、生命保険など)親戚は、〇〇です。(親、兄弟など、親族関係をご記載ください)現在の悩みは、〇〇です。(今後の手続が不安だ、相続人間でもめている、財産状況がわからない、など)法律相談に都合がよい日は、〇月〇日〇時ころです』

問い合わせする、相談する

  • 電話や問い合わせフォームで連絡します
  • 弁護士事務所に行って直接相談する場合が多いと思われますが、オンラインで相談対応する事務所もあります
  • 相談時は、飾らず率直にご自身の状況を説明することが大切です。弁護士としても内容が把握しやすくなるうえ、相談者との信頼関係が生まれ、スムーズなトラブル解決につながるといえます
  • 実は、相談段階でお困りごとが解決するケースも、多くあります

電話や問い合わせフォームで連絡して、相談内容を伝えます。面談へと進む場合には、具体的な相談日が決められることとなります。相談費用もそのときに確認しておくといいでしょう。一般的には、初回相談は無料、または30分で5,500円程度(消費税込)ということが多いです。

見積もりをもらう

  • 相談者の相談内容を聞いたあと、弁護士事務所から見積書や契約書などの提示を受けます
  • 見積もりが届くのは、相談した日から3日〜1週間ほどと思われます(メールなどの方法で、より早い対応となることもあるでしょう)
  • 場合によっては、費用の概算を聞いた相談者が、その場でそのまま正式依頼するケースもあります
相談したり、見積もりをもらったからといって、必ず依頼しなければいけないということはありません。別の弁護士に相談してもいいし、見積もり金額を比較するのもいいでしょう。また、トラブルを解決していくには信頼関係も大事ですから、その弁護士事務所の雰囲気や弁護士の人柄を考慮してもいいでしょう。大切なのは、自分に向き合ってくれそうな信頼できる弁護士を選ぶことです。また、「どれくらい費用がかかるか」ということも重要ですので、この点をクリアにしておくべきといえます。

弁護士に支払う費用の種類

契約の前に、弁護士費用についての説明を受けることになります。かつては、お金の話をしたがらない弁護士もいました。とはいえ、現在ではそのような事務所は少数派のように思われます。

どれくらいの費用がかかるかは、相談者にとっては、とても気になるところといえます。相談の早い段階で費用について質問してもいいでしょう。

  • 着手金・・・弁護士がその案件に着手する際に発生する費用です。
  • 報酬金・・・一般的に、弁護活動により依頼者(相談者)が得た金額的利益に一定の割合をかけた額を報酬金として支払います。成功の成否に関わらず、定額の報酬金を定める場合もあります
  • 実費・・・弁護士が弁護活動を行うための交通費や宿泊費などが該当します。これらの費用が着手金や報酬金に含まれる場合もあります。また、裁判手続を利用するとなると、弁護士が何度か裁判所に行くこともあります。その場合にも、弁護士事務所が管轄の裁判所に近ければ、この実費分は発生しないこともあります。
  • タイムチャージ・・・着手金や報酬金としてではなく、弁護士がその弁護活動に費やした時間で、費用を算出するやり方です。
  • 顧問料・・・継続的に弁護士業務を委託する企業などが法律事務所と顧問契約を結ぶ場合に発生する費用です。

正式に依頼する、契約する

弁護士に案件を依頼する場合、「委任契約書」を弁護士事務所が作成します。

委任契約書には、委任範囲(どんなトラブルや事件について委任するのか、委任業務の費用、契約を解除する場合の条件、対応する弁護士の名前など)を記載することになっています。

また、委任契約書の内容については、面談の時点や契約の時点で、弁護士が依頼者に説明することになります。

このときに、依頼者としては、相談したトラブルの内容や解決したいことがちゃんと記載されているかどうかを確認すべきです。

代理人業務の開始

契約が成立し、所定の費用を支払うと、代理人としての業務が開始されます。

進捗があったり、依頼者への確認、相談がある場合、随時弁護士から連絡があります。もちろん、進捗について弁護士に随時問い合わせることができます。

相手との交渉、調停、訴訟

弁護士は、相手との交渉を進め、解決を目指します。条件面を調整するために、依頼者と協議することもあります。

一方で、解決につながらず、訴訟などの裁判所の手続を利用することもあります。

交渉・調停

依頼者の代理人として、和解やトラブルの解決を図るため、相手方と交渉にあたります。代理人として窓口対応を行うため、相手からの連絡も弁護士にてすべて受けることとなります。

交渉がうまく進まなければ、調停手続を利用することがあります。調停とは、裁判所で行う話し合いの手続のことです。私人間でのトラブルの解決のため、裁判所の「調停委員」という方と裁判官の助力を得て、合意の成立を目指します。

この調停においては、調停員が当事者(両者)の主張や考え、気持ちを聞く機会が複数回設けられます。相手方とは別室で調停委員に説明したり、調停委員からの質問に回答します。調停は代理人弁護士がいなくても進められるように設計されていますが、本人で対応する場合には、調停への出席が求められます。他方で、弁護士に依頼している場合は、依頼人が調停に出席せずとも、手続を進めることができます。ただし、本人の意向を確認すべき場合には、出席をお願いすることもあります。

訴訟

合意の形成が難しく、話し合いの余地もないような場合は、弁護士から依頼者へその旨の連絡があります。

それでも問題解決を目指す場合には、訴訟手続を利用しなければならないこともあります。

多くの場合では、訴訟を起こす前には、弁護士との打ち合わせの場が持たれます。

訴訟とは、原則として金銭などを請求する側が裁判所に手続を申立てて、法的主張立証を行ったうえで、その請求を認めてもらう手続です。依頼者本人でも理論上は対応可能ですが、細かいルールや対応の機微もあるため、弁護士に依頼した方が無難です。

交渉や調停はあくまで話し合いですが、訴訟は話し合いではありません。いわゆる勝訴判決が得られれば、強制的に紛争を解決することもできます。このような強制力があるため、手続がややわかりにくいということにもつながっています。ただし、裁判でも「和解」という話し合いでの解決の可能性は、模索されることになります。

なお、「裁判」のイメージでよくある刑事訴訟は、検察官が起こす裁判です。刑事訴訟は犯罪があった場合の手続で、私人間のトラブル解決に関する民事訴訟とは異なります。

弁護の完了、トラブルの解決、費用の支払い

交渉、調停、訴訟などを経て、トラブルが解決すると、弁護士への費用残額や、報酬金を支払います。

  • 代理人業務の完了は、必ずしもトラブルの解決を意味するわけではありません。弁護士は依頼者の要望を実現するために全力を尽くしますが、当初希望した内容が達成されないこともあります。
  • 交通事故では、弁護士への残金、報酬金の支払いは、相手からの賠償金支払いがあった際に、そこから清算するという方法を取ることができる場合も多くあります。この場合は、依頼者が自腹で支払いを負担する必要はありません。(ただし、訴訟提起する場合には、実費を先に請求することもあります)

法律の専門家である弁護士に相談する

ずっと悩んでいたことも、法律の専門家である弁護士に相談すれば、道筋が見えることがあります。

トラブルに遭遇しているときは、「こういう風に解決したい」という希望ははっきりしていても、そこに向かってどう進めればいいか、その希望する形が果たして最善かどうか分からないこともあるかと思います。そんなときは、法律の専門家である弁護士にまずは相談されることをおすすめします。