ネットでの誹謗中傷などの法律問題

ネットでの誹謗中傷などの法律問題

はじめに

 インターネットの普及により、これまでには想定されなかったタイプの紛争に巻き込まれることがあります。架空請求、ワンクリック詐欺といった犯罪や、匿名の掲示板による書き込みで名誉毀損の被害を受けることもありえます。

 これらの問題の中には、弁護士の介入により解決することが可能なものが含まれています。不安を感じている方は、お気軽にご相談ください。

インターネット上の誹謗中傷や名誉棄損の被害者の方へ

ネット上の誹謗中傷、名誉棄損

 「2ちゃんねる」などの巨大掲示板に代表される匿名のコミュニケーションが、日本では一定程度の影響力を持ちます。これは世界的に見ても珍しい現象ですが、匿名のコミュニケーションにより、名誉毀損やプライバシー侵害の被害者や加害者になりうる現実的な危険が存在します。特に法人の場合には、悪意ある書き込みにより社会的信用を失うこともありえます。

 このような書き込みが行われる意図はさまざまなようです。一旦騒動に巻き込まれると、いわゆる「炎上」に発展することもあり、その対応のためのコストは大変なものになることもあります。

弁護士による関与・発信者情報開示請求

 「2ちゃんねる」に代表される、いわゆる匿名掲示板に対する書き込みについては、迅速・適切な対応により、悪意ある書き込みの削除を行うことも可能です。また、発信者を特定し、書き込みの削除要請を行ったり、名誉毀損による損害賠償請求や、刑事告訴を行うことも可能な場合があります。法的手続により発信者に関する情報取得が可能な場合があり、すべて匿名ということはないためです(発信者情報開示請求)。

 これらの手続には、それなりの手間が必要になります。弁護士であれば、裁判所を利用した発信者成情報の開示請求手続なども含め、ワンストップで対応可能です。掲示板書き込みなどの被害でお困りの方は、一度ご連絡ください。

書き込みなどによりインターネット上の誹謗中傷や名誉棄損の加害者となった方へ

 悪意ある発信により誹謗中傷や名誉棄損を行うことは、許されることではありません。とはいえ、金銭により相手方の精神的な損害を賠償するにしても、この金額を決めていくためには交渉が必要なことがあります。裁判の場合でも、謝罪の方法や、具体的な支払金額を決めていくためには、ある程度の主張を行っていく必要がでてきます。

 このような加害者側の交渉についても、事案によっては弁護士が代理して対応することがあります。

ソーシャルゲームをめぐる問題

ソーシャルゲームをめぐる問題の実態

 現在、ソーシャルゲームが広く普及しています。従来のゲームソフトのビジネスモデルと異なり、ソフトの売り切りではなく、継続的に課金コンテンツを販売することで収益を上げていることが特徴といえます。また、プレイするだけであれば、基本的に無料であることも多く、未成年者なども参加が容易なものです。さらに、明確なゲームクリアの概念はなく、ユーザー同士で強さを競うことがメインとなることが一般的というのも、大きな特徴です。

 ゲーム会社は、強さのランキング上位になりやすくなるようコンテンツ(アイテム)や、ゲームプレイを効率的に行えるようなコンテンツ(アイテム)を販売します。上位を目指すユーザーや、効率的なプレイを求める人の中には、これを購入する人もいます。このようになると、対人戦の要素が強まりますので(課金していない人は課金している人に勝つことは困難となる、課金するほど強くなれる)、数10万円、場合によってはもっと高額な金額で課金コンテンツを購入する人も出てきます。このようなゲームの性質上、お金のトラブルがどうしても発生しやすく、社会問題となると同時に、法律的な問題も発生しているというのが現状です。

弁護士の関与

 しばしば問題になるのは、未成年者が親のクレジットカードを借りたり盗用するなどして利用し、親の知らないところで課金コンテンツを大量に購入していた、というケースです。未成年者の法律行為については、「未成年取消」により取り消すことも考えられます。ただし、ゲーム会社の対応は硬化する傾向にあり、任意で返金などの措置を行わない場合も見受けられます。

 このような社会情勢は、今後も大きな変化が予想されます。当事務所でも、適切な対応を目指しています。場合によっては返金請求などを行う対応もありますので、お悩みの方はご連絡ください。

架空請求など

架空請求問題の実態

 単純な架空請求の事案は、インターネットが一般家庭に広く普及したころからある事件類型です。身に覚えのないアダルトサイトから料金請求を受けるケースは、現在でも多発しています。昨今は、パソコンなどの電子機器に詳しくない、周りに相談する人が少ない高齢者をターゲットにした事案も多発しているものです。

 他にも、経済的支援を騙るメール(例:すぐに3000万円支払います、もう銀行に来ています、口座番号を教えてください)や、アイドル歌手を騙るメールで金銭を支払わせようとするなど(例:【芸能人名】の相談に乗ってください、そのためにはポイント購入が必要です)、手法には多くのバリエーションがあります。また、フェイスブックなど匿名性の低いSNSで架空の人物を設定し、実在する人物に見せて利用者の警戒心を解こうとするなど、巧妙な手口も散見されます。

 このようなインターネットを経由した詐欺手法の中には、いわゆる「オレオレ詐欺」(振り込め詐欺)とリンクしたものもあります。犯罪者の手口は日進月歩であり、ネット上の怪しい話は慎重に判断する必要があります。

弁護士の関与

 悪質業者に対する最も有効な対策は、「無視」です。一度お金を支払ってしまうと、取り戻すことは容易ではありません。

 他方、お金を支払ってしまったという人もいます。そのような場合でも、業者の種類や状況によりますが、返金が可能なこともあります。弁護士が依頼を受けて、早期の対応により一定程度の返金に成功したという事例もあります。現在連絡や請求を受けている人はもちろん、「お金を払ったがその後相手方とは音信不通だ」という人も、よろしければご連絡ください。

著作権法違反

違法動画など、問題の概要

 私たちの周りには、著作物があふれています。インターネットの普及により、個人間であっても、データの劣化の少ない、高速でのやりとりが可能になっています。この個人間のやり取りの範囲を越え、SNSなどでインターネット上の情報発信をする方も多くなっている昨今では、著作物の無断使用による著作権違反の事案が、数多く存在しています。このような事案は、ほとんどのケースでは著作権者が請求などをしないため、実態が目に見えにくいものです。ただし、違反である以上、「請求されたら損害賠償支払い義務は免れない」というケースは、数多く存在します。

 企業が運営する情報サイトで、大規模な記事盗用や写真盗用が行われていた事案がありました。「ネット上にある画像だから」などという判断で、安易に無断で使用してしまうということは、企業や自治体であってもやっていることがあるものです。

 他にも、カラオケ動画の事案があります。カラオケ配信会社がカラオケボックスでの動画を「youtube」にアップロードした男性に対してこの削除を求めたものですが、結論としては動画削除を認めています(以下のリンクで具体的な事案について説明しています)。このように、意図せず著作権法違反になってしまうことがあり得るため、注意が必要です。

コラム・著作権法違反にならないカラオケ動画(「歌ってみた」等)について(youtubeへの動画アップロードが著作権法違反とされた裁判例(東京地裁H28.12.20判決)をもとに)

判例紹介・youtubeに自身のカラオケ動画をアップロードした個人に対して、カラオケ会社が動画の公開差し止めを求めた事案(東京地裁H28.12.20判決(H28(ワ)34083号)

弁護士の関与

 意図せず著作権法違反をして、著作者から通知が来たといった場合には、代理人として対応することがあります。また、著作権法の違反かどうかが不安な場合には、法律相談にていろいろとお話を聞く対応を検討いたします。

弁護士費用

 インターネット上の事案では、請求することもされることもある上、対応をひとまとめにできるものでもありません。このため、明確な基準を示すことは難しいものです。一般民事の費用が参照されるところですが、匿名掲示板への書き込み削除など、裁判所を使用する手続の場合には、数10万円といった費用が発生することは、避けられないこともあります。

 一般民事事件の弁護士費用算定の目安は、以下の通りです。依頼者が受ける利益を「経済的利益」として、その金額に割合を掛ける方法により、弁護士費用を算定します。

 請求を受けている場合には、着手金及び報酬金のいずれも、20~50万円(消費税別)を目安とします。ただし、相続財産の状況や、想定される業務量により、費用は変動します。

事件の種類経済的利益の額着手金報酬金
金銭請求300万円以下の場合経済的利益の8%経済的利益の16%
300万円を超え、3000万円以下の場合経済的利益の5%+9万円経済的利益の10%+18万円
3000万円を超え、3億円以下の場合経済的利益の3%+69万円経済的利益の6%+138万円

 他方、単純な法律相談で解決する事案であれば、30分5,000円(消費税別)にて対応可能です。

 事案により、かなり変動が大きいところですので、まずはご相談ください。

執筆・監修: 弁護士 斉藤 圭

執筆・監修: 弁護士 斉藤 圭

弁護士(登録番号:42442)。 所属団体:山梨県弁護士会。地元山梨で舞鶴法律事務所を2012年2月に設立。 交通事故や離婚問題、債務整理などトラブルや悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。