自賠責保険基準について(後遺障害部分)

自賠責保険の概要

自賠責保険とは

 自賠責保険は、強制保険ともいわれます。車検の際には必ず加入することとされ、事故の被害者に最低限の補償を行うものです。

 以下では、交通事故によって後遺障害を負った場合の、自賠責保険による賠償基準について説明します。

自賠責保険についての説明

自賠責保険の基準(後遺障害部分)

逸失利益

原則的な算定方法

 「労働能力喪失率」×「後遺障害確定時の年齢に対応したライプニッツ係数」×「年間所得」により算定します

労働能力喪失率の一覧表

 後遺障害等級に対応した労働能力喪失率は、以下のとおりです。

 障害等級 労働能力喪失率(%) 
 1級  100
 2級  100
 3級  100
 4級  92
 5級  79
 6級  67
 7級  56
 8級  45
 9級  35
10級  27
11級  20
12級  14
13級  9
14級  5

就労可能年齢に対応したライプニッツ係数

 ライプニッツ係数とは、将来受け取ったであろう金額を現在の価値に算定するために、利率で減額するための係数です。年齢と1対1で対応するものです。就労可能年数の代わりに掛け合わせる数値と捉えてもらえば、間違いないでしょう。

 この係数の一覧表(別表Ⅱ-1)はボリュームが大きいため、下の記事でにまとめて記載してあります(別ウィンドウが開きます)。

自賠責保険で用いられる基準表について

年間所得の決定方法

 「年間所得」は、まずは前年の実所得が参照されます。ただし、平均給与の値も参照して、有職者か否かなどの基準により、各種検討を加えて具体的な数値が算定されます。この平均給与の一覧表(別表Ⅳ)はボリュームが大きいため、全年齢平均給与(別表Ⅲ)を併せて、上記記事に記載してあります。

 「年間所得」は、原則として、「事故前1年間の実際の所得額と、別表Ⅳの性別ごとの平均給与月額を年額換算したもの」のうち、高い方の金額を採用します。

 ただし、年間所得の算定方法には、もう少し複雑な決定ルールがあります。これは、若年者の所得が低額に算定されることを避ける趣旨と、給与の証明ができない人について年間所得を決める趣旨によるものです。この内容は、以下のとおりです

  1. 35歳未満で事故前年の所得の証明が可能な場合→「事故前年の所得」、「全年齢平均給与(別表Ⅲ)」、「年齢別平均給与(別表Ⅳ)」の最も高い金額
  2. 35歳未満で事故前年の所得の証明が不可能な場合→「全年齢平均給与(別表Ⅲ)」、「年齢別平均給与(別表Ⅳ)」の高い金額
  3. 35歳以上の者で事故前年の所得の証明が不可能な場合→「年齢別平均給与(別表Ⅳ)」
  4. 35歳以上の者で事故前年の所得の証明が可能な場合(原則)→「事故前年の所得」と「年齢別平均給与(別表Ⅳ)」の高い金額
  5. 退職後1年を経過していない失業者→「事故前年の所得」を「退職前1年間の収入額」に読み替えて、上記基準を準用する

幼児・児童・生徒・学生・家事従事者の場合

 年間所得につき、「全年齢平均給与(別表Ⅲ)」の年額換算額によって算定します。この数値に労働能力喪失率とライプニッツ係数を掛け合わせる計算方法は、同じです。

 なお、58歳以上の者で、「年齢別平均給与(別表Ⅳ)」が「全年齢平均給与(別表Ⅲ)」を下回る場合には、「年齢別平均給与(別表Ⅳ)」の金額となります(低い方の金額ということになります)。

その他働く意思と能力を有する者

 年間所得につき、「年齢別平均給与(別表Ⅳ)」の年額換算額によって算定します。ただし、「全年齢平均給与(別表Ⅲ)」の年額換算額が上限となります。

後遺障害慰謝料

 後遺障害になったことによる慰謝料については、以下のように算定されます。

自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合(常時介護が必要な、特に重篤な後遺障害を指す)

等級 金額
1 16,000,000
2 11,630,000

自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合

等級 金額
1 11,000,000
2 9,580,000
3 8,290,000
4 7,120,000
5 5,990,000
6 4,980,000
7 4,090,000
8 3,240,000 
9 2,450,000
10 1,870,000
11 1,350,000
12 930,000
13 570,000
14 320,000

等級ごとに支払い限度額がある

限度額の紹介

 自賠責保険では、後遺障害の等級ごとに、下記のとおり支払い限度額があります。なお、別表1の場合というのは、上述のとおり、常時介護が必要な場合など、特に重篤な後遺障害を指します。

等級 金額
1(別表1) 40,000,000
1 30,000,000
2(別表2) 30,000,000
2 25,900,000
3 22,190,000
4 18,890,000
5 15,740,000
6 12,960,000
7 10,510,000
8 8,190,000
9 6,160,000
10 4,610,000
11 3,310,000
12 2,240,000
13 1,390,000
14 750,000

後遺障害がある場合には限度額を越えるケースが多い

 通常、逸失利益が高額になりがちなため、後遺障害となると、支払限度額を超えることが非常に多いものです。そもそも、自賠責保険基準は低額であるため、裁判所基準の賠償には全く足りません。裁判所基準での賠償になった場合でもしっかりと対応できるように、任意保険にも加入しておくべきです。

自賠責保険と任意保険の違いは何か

その他の自賠責保険基準について

 自賠責保険の傷害部分の基準は、以下のとおりです。

自賠責保険基準についての説明(傷害部分)

自賠責保険基準について(死亡事故の場合)

補足

 以下のページも、よろしければご覧ください。

交通事故

自賠責保険について

この記事を書いた人

斉藤圭
斉藤圭弁護士・舞鶴法律事務所(山梨県甲府市)
地元山梨で舞鶴法律事務所を営んでいます。
交通事故や離婚問題、債務整理などトラブルや悩みを抱えている方は、一度ご相談ください。メールでも電話でも構いません。

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