弁護士の『無料相談』で注意したいこと

弁護士の『無料相談』で注意したいこと

 一定の時間内で法律相談が無料になる、いわゆる『無料相談』は、多くの弁護士事務所が対応しています。

 とはいえ、弁護士事務所で相談する際に、どのように準備していけばよいのかといったことは、初めての方には分かりづらいかと思います。そこで、弁護士に『無料相談』する際に注意したい点について、以下にまとめました。無料相談を有効に利用する上でお役立てください。

※以下の内容は、当事務所のケースに基づき解説しています。弁護士事務所やご依頼者のご状況によって、無料条件や相談できる内容が異なる場合もあるので、相談予定の弁護士にご確認ください。

弁護士に『無料相談』する際に注意したい点・知っておきたいこと

事前の予約が必要

 多くの弁護士事務所で、無料相談には事前予約が必要です。予約なしに弁護士事務所に行っても、担当弁護士が他の相談者の予約や打ち合わせを控えていたり、裁判所などに出向いていることがあり、結局、後日の予約になるおそれがあります。事務所の方針として、予約なしの方の相談は、全件受け付けないという場合もあります。

 このため、無料相談を希望する場合には、必ず事前に連絡するべきです。連絡さえ通じれば、即日相談に対応する法律事務所もあります。

 事前予約の窓口は、いろいろなものがあります。今では、ホームページに『問合せフォーム』を設置している弁護士事務所も、多くあります。メール連絡は、手軽に行えるメリットがあります。また、予約フォームには、「相談する際の具体的な例」として、文例を挙げている場合もあります(例:当所の予約フォーム)。

無料相談が利用できない場合がある

 交通事故(被害者側)、多重債務、遺言・相続など、弁護士が関わる一般事案については、多くの弁護士事務所で、無料相談に対応しているといえます。

 ただし、現に裁判になっていて急を要する事案であったり、そもそも事務所が対応していない事案の場合には、無料では相談出来ない場合があるので注意が必要です。とはいえ、この辺りの対応は、事務所によりかなり異なるといえます。事務所に確認することをおすすめします。

原則として当事者による相談が求められる

 当事者以外の第三者が無料相談を希望しても、これは受けられないという事務所も多くあります。本人以外だと、事件についての状況説明が不正確になったり、本人の意志や希望が的確に把握できないおそれがあるためです。

 なんらかの事情で当事者が相談に行けない場合は、「代理の方が相談に行くことは可能ですか?」と連絡のうえ、その事情も伝えるべきです。そのうえで、相談対応が可能かどうかを事前に確認することが望ましいです。

相談時間は『30分程度』が一般的

 無料相談の時間は、『30分程度』が一般的です。それ以上になると有料になるケースが多いといえます。 

相談回数が『1事件・1事案につき1回まで』が一般的

 「1事件につき1回まで無料相談可能」というように相談回数に制限が設けられてる場合もあります。

先方とのコンタクトや手続き、書類準備は、無料相談では依頼できない

 先方への対応や、法的手続き、書類作成は、無料相談では依頼できないのが一般的です。

 代理人として正式に対応するのは、手続や費用の説明に納得のうえで委任契約が成立した後となります。無料相談の段階で、具体的に代理人として弁護士が対応するということは、基本的にありません。

無料相談には限界がある

 法律事務所は、依頼者が抱える紛争を解決するために、専門的な法的サービスを提供しています。このような性質上、具体的な手続をどのように進めていくかは、慎重に検討していく必要があります。いくつか想定される手続のうち、「この方法がよい」、あるいは、「この方法では解決につながらないから、採用するべきではない」という取捨選択も求められます。相手方との交渉も重要であるところ、これを「いつ」、「どのように」行うかといったことも、重要になります。

 このため、限られた時間の無料相談の機会では、相談者がすべての情報を得ることは難しいといえます。取るべき手段を絞り込み、具体的な方針を考えるということは、相談者から信頼を得て、正式に依頼を受けた弁護士でなければ難しいものです。

 よって、無料相談には、「相談者が抱える問題につき、解決のための道筋や全体像を示してもらう」というイメージで臨まれるとよいと考えます。

弁護士との無料相談を有効に活用するポイント

弁護士との無料相談を有効に活用する場合には、以下の点がポイントになるといえます。

  1. 早い段階で相談する、問題が深刻になる前に相談する
  2. 正直に事実を伝える(不利な事実も隠さずに伝える)
  3. トラブル、事件の経緯を時系列で書き出しておく
  4. 関係する資料や証明書類をまとめて持っていく
  5. どうなることが自分の希望か、はっきり伝える(事前にまとめておく)

以下の記事では、弁護士に相談する際の準備などについてまとめていますので、もしよければご覧下さい。

弁護士に相談〜依頼から業務終了までの流れ|準備や注意点、相談のポイント
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弁護士の『無料相談』で良くある疑問・FAQ

無料相談でどこまで聞ける?

 無料相談はその名前のとおり、「相談まで」とお考えください。書類作成、相手方への交渉など具体的な実務は、多くの場合で含まれません。

 しかし、正確に困っていることを伝えることで、的確な法的対処方法が分かることが多いと言えます。その意味では、無料相談は問題解決への有効な手段と言えます。

無料相談で解決することもある?

 無料相談のみで問題が解決するということもあります。

 具体例のひとつとして、相続のケースが挙げられます。高齢の相談者が、自分の相続をどうしていくか悩んでいたという事案です。「悩みの種になっている相談者の親族に、どのように遺産を渡すか、あるいは渡さないか」ということで相談に来ました。しかし、話を聞いていくと、その対象者は、実際には法律上の相続人ではありませんでした。弁護士から相続制度の概要を伝えたことで、相談者の問題はほぼ解決となったといえます。

 また、無料相談で問題解決とまではいかなくても、具体的な解決の道筋がみえたことで、安心を得られることもあるといえます。それまで解決する方法さえ分からず困っていたところに、具体的な解決方法が示されれば、その安堵も大きいといえます。

無料相談のあとの流れは?

 無料相談のあと、さらにその法律事務所に対応を依頼するという場合には、正式な契約手続に入ります。具体的な法的解決を目指す場合の詳細は、以下の図のような流れとなります。

無料相談ののち、弁護士に依頼した場合の問題解決までの流れ
無料相談ののち、依頼した場合の問題解決までの流れ

依頼から業務終了までの流れは以下の記事もご覧下さい。

弁護士に相談〜依頼から業務終了までの流れ|準備や注意点、相談のポイント
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無料相談のあとの相談費用はいくらですか?

法律相談後の弁護士非費用については「弁護士費用はどれくらい?」をご参照ください。