交通事故でケガをした場合には、人身事故にすること

人身事故扱いにするべきかどうか

物件事故と人身事故の違い

交通事故の際に、事故当事者などから「人身事故にしないで欲しい」といったことを言われることがあります。どのように対応するべきでしょうか。以下で解説します。

まず、「物件事故」とか「人身事故」というのは、警察の事故受付の種類となります。物件事故の場合は、「事故で当事者は怪我をしていない」という扱いになります。他方、人身事故の場合は、「ケガ人が出るような事故だった」という扱いになります。人身事故扱いにする場合には、被害者が病院で診断書を発行してもらい、警察に持っていって手続をすることになります。

そして、人身事故扱いの事故だと、事故の後日に再度実況見分を行い、警察が実況見分調書を作成することが通常です

物件事故で治療費が払ってもらえるのか

物件事故の場合でも、保険会社は治療費の支払いをしないわけではありません。物件事故というのは、警察での扱いに過ぎないためです。警察の扱いだと、交通事故から2週間程度経過すると、警察に診断書を持ち込んでも、人身事故扱いにしてくれないことがあります。それでも、事故と因果関係が認められる通院の場合は、保険会社は支払いをしてくれます。

このため、物件事故であっても、保険会社に病院の治療費を支払ってもらえることは、あります。

人身事故を物件事故とするデメリット

物件事故扱いである以上、事故としては軽微であったと捉えられるおそれがあります。このため、通院期間が短く見積もられてしまうリスクがあります。

また、物件事故扱いだと、保険金の請求をする際に、追加で書面が必要になる手間が発生することがあります。

そして、人身事故扱いでないと、詳細な実況見分調書が作成されません。過失で争いになった場合に、警察作成の客観的な証拠が確認できなくなり、事故状況の証明が大変になります。

以上より、実際に怪我をしている場合には、人身事故扱いにしておくべきと考えます。

交渉事の側面もある

人身事故は、物件事故と比較して、加害者の違反点数が大きくなります。違反点数がたまっている人の場合、「被害者に物件事故としてもらう」ことにメリットがあります。このため、加害者から、「人身事故にしないなら、過失を1割まけてもいい」という話を持ちかけられることもあります。

一般論としては、ケガをした事故を人身事故扱いにしないことで、いろいろなデメリットもあります。また、実態に合わない事故の取り扱いは、あまりおすすめできるものではありません。
とはいえ、お金に関わる話でもあり、物件事故のままとすることも、必ずしも責めきれるものでもありません。このあたりの細かい対応については、弁護士に確認するべきことといえます。

まとめ

  1. 警察の事故の扱いは、物件事故と人身事故がある
  2. 物件事故扱いでも、保険会社から治療費の支払いは受けられる
  3. 怪我のある事故を物件事故扱いとすると、デメリットを受けることがある

補足

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