離婚訴訟(離婚裁判)の「控訴審」とは?弁護士が解説

 家庭裁判所で離婚裁判の第一審判決が出た後に、当事者が不満・不服を持って控訴するケースは少なくありません。

 控訴審は、第一審の判決に不服がある場合に、その判決が適切であったかどうかを上級の裁判所で改めて審理する手続のことです。離婚訴訟は第一審が家庭裁判所ですので、控訴審は高等裁判所にて行われることになります。

 離婚訴訟で控訴される類型としては、以下の点に不服があるという場合が挙げられます。

  1. 離婚が認められた(認められなかった)こと
  2. 慰謝料が認められた(認められなかった)こと及び認められた場合でもその金額
  3. 財産分与が認められた(認められなかった)こと及び認められた場合でもその金額

 具体例としては、「不貞行為やDVを理由に離婚裁判したが、一審で証拠不十分として離婚原因として認められなかった」、「相手名義の預貯金や不動産が夫婦共有財産として認められず、一審の財産分与の算定額に不服がある」といったものです。

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離婚訴訟(離婚裁判)の流れ

 離婚訴訟では判決となり、その後控訴審に移行する場合、高等裁判所での審理となります。ここでは、控訴からの流れを解説します。

一審判決から控訴まで

控訴がなされる場合

 裁判一般につき、判決に不服がある場合には、控訴をすることができます。離婚を求める訴訟も同様です。家庭裁判所の判決に不服があれば、その人が控訴をすることができます。

離婚を求める調停が不調に終わった場合に予定される離婚訴訟の第一審の流れについて、説明しています。
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離婚訴訟は控訴審に移行することも多い

 離婚訴訟は、その結論により、身分変動が伴うことがあるものです。すなわち、判決の内容は、人生に大きな影響を与えうるものです。

 離婚訴訟で判決になった場合は、「離婚する・しない」の両極端な結論に分かれてしまいます。このため、和解できずに判決まで至った場合には、判決の内容と逆の判断を求めて控訴審に移行することも多いといえます。

控訴審の展開

和解成立の可能性

 控訴審であっても、和解の可能性を探ることは、一審手続と同様です。ただし、一審の判断があるため、一般論として、「一審で有利な判決を得ている側の方が、和解協議では有利な立場である」といえます。

 例えば、「解決金の金額次第では離婚してもよいが、一審段階で和解協議の際に原告が出した金額提示に不満があったため、離婚しないと争って勝訴した(原告の請求棄却)」という場合を考えます。被告側(被控訴人)とすれば、控訴審では金額交渉では有利な状況にあるといえます。

 この場合は、離婚を希望する原告側(控訴人)からよい提示があれば、和解して離婚することで、金銭的に有利な合意が取得できます。控訴審判決によらず事件を終結させることも可能となれば、時間的・精神的負担も軽減できるでしょう。

控訴審判決へ

 和解協議を経た場合でも、合意できなれば判決となります。控訴認容か、控訴棄却という判断となります。

 やはり裁判により極端な結論となるため、さらなる異議申し立てを希望することも多いかと思われます。ただし、通常、控訴審で請求が通らなければ、まずは受け入れるべきところです。離婚訴訟の場合には上告理由がないことが多く、上告をしたとしても、「時間がかかっただけで結論は変わらなかった」という結果が予想されるためです。

控訴手続から算定される、だいたいの所要時間

控訴のための手続期間

 控訴期間は、判決文を受け取った翌日から14日が満了するまでです。控訴する場合は、それまでに控訴状を第一審の行われた家庭裁判所に提出する必要があります。

民事訴訟法第285条(控訴期間)

控訴は、判決書又は第254条第2項の調書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない。ただし、その期間前に提起した控訴の効力を妨げない。

 控訴した後には、50日以内に「控訴理由書」を高等裁判所に提出する必要があります。控訴理由書を期限内に提出しないと、控訴しても新しい主張を取り上げてくれないおそれがあります。

民事訴訟規則第182条(第一審判決の取消し事由等を記載した書面)

控訴状に第一審判決の取消し又は変更を求める事由の具体的な記載がないときは、控訴人は、控訴の提起後50日以内に、これらを記載した書面を控訴裁判所に提出しなければならない。

 控訴理由書が提出される頃から、さらに相手方の検討期間を開けて控訴審の期日指定がなされることが多いところです。よって、控訴審の第1回期日は、控訴時点から3か月後くらいになることも、しばしばあります。

控訴審での所要時間

 控訴審も、第一審と同様に、1か月に1回といったペースで手続が進みます。

 ただし、控訴審は第一審の内容を前提にしているため、あまり複数回の期日が想定されないものです。特に新しい争点などもなければ、第1回期日で結審してしまうこともあります。

 この場合、初回結審でそこから約2か月後が判決期日とされた場合には、控訴から結論が出るまでには、おおむね5か月程度の時間がかかる、ということが想定されます。結審後にも和解はできますので、裁判手続は進めておいて判決期日も決めてしまった一方で、和解協議が進んだことで、判決期日に至る前に成立することもあります。他方で、どうしても折り合えないという場合には、判決期日に控訴審判決が出ることになります。

 以下のページも、よろしければご覧ください。

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離婚訴訟(控訴審)でよくある疑問(FAQ)

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離婚裁判・離婚訴訟を控訴審まで行った場合の弁護士費用は?

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第一審までの費用のうち、着手金440,000円〜550,000円(消費税込)を目安としています。控訴審に移行する場合には、追加着手金として、110,000~220,000円(消費税込)といった費用をお願いすることがあります。

 また、山梨からだと高等裁判所への出張が必要になる可能性が高いため、交通費などの実費及び日当の負担をお願いすることもあります。

 詳しくは以下でご覧いただけます。

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離婚裁判で最高裁までいくことはある?

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 制度上は可能ですが、非常にまれです。また、一般論として、控訴審までの結論が変わるということも、非常にまれといえます。