離婚する際に子どもの親権者になるにはどうすればよいか

はじめに

親権者の決定方法

 子どもの親権者は、離婚する際に必ず決めなければなりません。話し合いでまとまならなければ、裁判所の手続で決定されることになります。それでは、離婚する場合に親権を取りたいというときは、どのように振舞えばよいのでしょうか。この内容につき、以下で説明します。

 なお、以下では、親権を取得することが難しいとされる父親側の立場で記載します。どうかご了承ください。

親権者決定の際の考慮要素

 親権者決定の際には、以下のような要素が考慮されていると解されます。各要素について、離婚前から望まれる対応を説明します。

  1. 子どもの年齢と母性
  2. 子どもの意思
  3. 経済力
  4. 離婚時点での居住環境
  5. 周囲のサポート環境
  6. その他

子どもの年齢にあわせて母性を確保する

 子どもの年齢は、変えられるものではありません。また、一般論としては、父親に母性を求めることは困難といえます。

 父親側で親権を取りたいのであれば、母親や姉妹がいれば、協力を求めるべきところです。その際には、単に「姉妹や母から協力が得られる」ということだけではなく、「~曜日の~時には~が家に来て料理を作ってくれる」などと、具体的な内容を主張するべきです。

子どもに意思を表明してもらう

 個人差は大きいですが、子どもは、親の顔色を見るものです。しかし、子どもには、本心を語ってもらうべきでしょう。子ども自身に本心を語ってもらうことで、家庭裁判所調査官の面談がある場合でも、子どもの真意が伝わるものといえます。

 子どもに「望ましい意思を表明してもらう」ためには、毎日の積み重ねしかありません。こればかりは、離婚問題が表面化してから対策できるものではないかもしれません。とはいえ、夫婦関係が悪化してからでも、子どもの接し方には工夫ができると思われます。

経済力の根拠を示す

 現実の経済力の根拠としては、前年の源泉徴収票や確定申告書が参考になります。親から経済的な協力が得られるのであれば、それも経済力の一つです。親の資産や協力をする趣旨の書面作成が受けられるのであれば、資料として用意するべきでしょう。

離婚時点で子どもと同居しておく

 実は親権を取得するうえで一番重要とも解されるのが、「離婚時点での事実状態」です。離婚時点で子どもと同居していて、子どもが安定した生活を送れていることを示せれば、親権を取得する際には、かなり強いといえます

 配偶者と別居して父親側で子どもを見ることになった場合で、日中仕事であれば、速やかに実家などに協力要請をして、子どものサポート体制を築く必要があります。「現実問題として子どもは見れないから、とりあえず妻に渡す」などとなれば、その後から親権を取得できる見込みは、かなり低くなるでしょう。

周囲のサポート環境

 すでに述べたとおりです。実家などからの経済的な支援や育児への協力体制を具体的に構築することが重要です。無理な協力を依頼してもどこかで破綻することになりますので、場合によっては実家に引越しするなどして、確実なサポート体制を確保することが重要です

子どもと同居できない場合はどうすればよいか

反対する相手から子どもを連れ出すことは容易ではない

 例えば父親が、配偶者と子どもと別居した後に、親権のことも考え、子どもと同居を再開したいと考えたとします。しかし、配偶者の反対の意思が強ければ、話し合いで子どもとの同居を実現することはできません

 この場合は、どうすればよいのでしょうか。

子どもとの同居は、穏やかに実現するべき

 結論からいえば、別居していない親が、子どもとの同居を実現するためには、穏やかな状態での話し合いにより実現するほかないといえます。それで同居ができないのであれば、裁判所の手続によるべきです。

 間違っても、子どもを奪うということをするべきではありません。この点については、別の記事で改めて説明します。

まとめ

  1. 親権を取得したいのであれば、周囲のサポートを確保し、子どもが健全に生育できる環境があることを示す必要がある
  2. 親権を取得したいのであれば、子どもとの同居を確保すべき
  3. 子どもとの同居を得る際には、穏やかな方法によるべき

補足

 以下のページも、よろしければご覧ください。

離婚

離婚する際の子どもの親権者はどのように決まるか

離婚する際に子どもの奪い合いは、するべきではない