弁護士の役目、使命とは?〜弁護士の歴史など

弁護士の役目、使命とは?〜弁護士の歴史など

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弁護士はどういう仕事をする人?なぜ弁護士という職業が生まれたの?

弁護士とは? 

 

弁護士の仕事内容や社会的使命、歴史についてご説明します

 

弁護士の役割とは?

 弁護士は、依頼者の代理人として振る舞います。

 その対応には、一例として、『相手方と話し合って和解する』といったものや、『裁判所に訴訟を起こして、法的な判断を得る』といったものがあります。民事事件であれば、依頼者に代わって、相手方本人や相手方の代理人弁護士に対して主張をぶつけ、反論を受けた場合にはこれにさらに対応していくことになります。刑事事件であれば、依頼者が問われている罪につき、検察官と対峙して、適切に法廷での弁論を行います。

 弁護士が、代理人または弁護人として正しく事件に対応するためには、依頼者の状況や希望を把握することが最も重要といえます。依頼者との間で、ともに歩むパートナーとしての信頼関係を築くことが大切です。そういった関係を構築することができて、初めて、最善の形で問題解決することを目指して、事件に立ち向かっていくことができるといえます。

法律で定められている弁護士の役目

 弁護士は、裁判官や検察官と異なり、公務員ではありません。いわゆる一般私人に過ぎません。ただし、その職務の特殊性もあり、弁護士には、社会的な職責が求められています。すなわち、弁護士法が定めるとおり、「人権擁護」や「社会正義の実現」といったことを目指すべきとされています(弁護士法1条)。

 他にも、「深い教養を保持すべきである」とか、「法律事務に精通しなければならない」といった規程があります。「高い品性の陶冶(とうや)に努め」なければならないなど、普段見慣れない日本語の言いまわしで、職責を定めるものもあります(弁護士法2条)。なお、陶冶とは、「高みを目指して能力や素質を向上させる」といった意味です。

第一章 弁護士の使命及び職務
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
(弁護士の職責の根本基準)
第二条 弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶冶(とうや)に努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。
(弁護士の職務)
第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=324AC1000000205)

昔は辯護士。「辯」、「弁」とは?

 「べんごし」を漢字表記すると、今は「弁護士」と書きます。ただし、昔は、辯(べん)護士と書きました。かなり難しい表記であるところ、「辯」は「弁」の旧字体です。

 「弁(辯)」とは、述べること・弁じることを意味します。「弁じる、辯じる」とは、正しいか正しくないかを分ける、 わきまえるということを意味します。

弁護士という職業はいつからある?

 弁護士という職業につき、その歴史はかなり古いようです。少なくとも2,100年前(紀元前80年ごろ)には、そのような職務を担当していた者がいたとされています。古代ローマの記録で、民事訴訟や刑事訴訟といった手続で、弁護士のような役回りの者の活動があったとされています。当時は、「雄弁家」と言われる人たちが被告や原告に代わって弁論し、裁判の行方を左右することもあったようです。

 法律に関わる職業には、弁護士や裁判官、検察官などがあります。これらをまとめて「法曹」と呼びます。長い歴史の中で制度改正が重ねられ、それぞれの国の中で現在の司法制度ができあがっています。人権保護や社会正義を実現するために長い年月をかけてきたと表現することもできるでしょう。その研鑽の道は、これからも続きます。

 少し大きな話になりました。次に、弁護士の仕事を細かくみていくと、「法廷での仕事」と「法廷以外での仕事」に分けることができるといえます。

弁護士の仕事

 弁護士は、法廷のある裁判所を仕事場とします。ただし、その準備のために、弁護士事務所などでも、多くの業務を行います。

法廷での仕事

 「法廷」とは、訴訟の審理や裁判をする場所のことです。もちろん、裁判所にあります。

 「裁判」は、大きく分けると民事裁判と刑事裁判があります。

 民事裁判とは、日常生活で起こる問題や争いなどの「民事事件」を扱う裁判です。例えば、貸したお金の返還を求めたり、交通事故の損害賠償を請求するような事件が挙げられます(「一般民事」などといわれます)。なお、離婚や相続に関する事件は、「家事事件」といわれます。

 刑事裁判とは、傷害事件、詐欺事件、殺人事件などといった、「刑事事件」を扱う裁判です。刑事裁判では、起訴された人が有罪か無罪か判断され、有罪の場合には具体的な量刑が決められることになります。検察官が被告人を起訴して有罪の立証をする一方で、弁護人が被告人の利益のために弁論を行います。最後は、手続に表れた内容を踏まえて、裁判官が判断を行います。

 弁護士は、このように、法廷での手続にて、依頼者の利益のための活動を行います。

法廷以外の場所での仕事

 法廷以外の場所では、依頼者との面談や打ち合わせなどを行います。トラブルや争いの状況を聞き取ったり、その客観的な資料(証拠)を集めたうえで、相手側との交渉を行います。多くの仕事は、事務所で行われることになります。

 一度紛争状態になってしまうと、当事者間ですべてこれを収めることは、なかなか難しいものです。双方にそれなりの言い分があるうえ、感情的なもつれがあることも多いためです。そのような状況でも、法律の専門家である弁護士が間に入ることで、それ以上状況が深刻になるのを防ぎ、和解に至るケースも多いものです。このように、紛争に対する仲裁役となることも、法廷以外の場以外での弁護士の重要な役目です。

 もちろん、弁護士を入れたとしても交渉では和解に至らず、訴訟に進むという場合もあります。ただし、裁判手続は、どうしても証拠勝負になることが多くあります。この有効な証拠収集などの立証活動が重要であるところ、その業務を適切に行うのも弁護士の仕事といえます。

各裁判所での仕事内容

 裁判所には、それぞれ担当している職務の範囲が定められています。

簡易裁判所

 簡易裁判所は、地方裁判所よりも少額(140万円以下)の民事事件を取り扱います。また、量刑が比較的軽微な刑事事件の裁判が行われます。また、民事事件で、非公開の話合いで解決を目指す調停手続も行われます。

家庭裁判所

 家庭裁判所では、離婚や相続といった家事事件が取り扱われます。また、未成年者が犯罪を犯した場合に行われる少年事件の審判も、ここで扱われます。

地方裁判所

 地方裁判所は、広く一般民事事件を取り扱います。また、簡易裁判所の管轄を超えた刑事事件も行われます。さらに、簡易裁判所を第一審とした事件のの控訴審も行われます。

高等裁判所

 高等裁判所(「高裁」と略称されます)は全国8都市(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松)に設けられています。また、6都市(秋田市、金沢市、岡山市、松江市、宮崎市、那覇市)に、高裁支部が設けられています。地方裁判所の第一審判決や、家庭裁判所の判決に対して控訴する場合の審理が行われる裁判所です。簡易裁判所が第一審の事件の場合には、高裁が上告審を行います。

以上、弁護士の仕事内容や社会的使命、歴史についてでした。