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JA共済のみ損害調査の体制が異なっていた
後遺障害の申請等は加害者加入の自賠責保険会社に対して行う
交通事故から6か月程度通院しても症状が改善しない場合、後遺障害の認定申請を検討することがあります。この場合、実際の申請は、加害者加入の自賠責保険(または共済)を窓口に請求を行うことになります。
この申請先の自賠責保険会社等につき、加害者加入の任意保険とズレることがあります。よって、場合によっては、自分が加入している自動車保険会社と、加害者加入の任意保険会社に加えて、第三の保険会社が登場することもあります。
損害保険料率算出機構による調査
自賠責保険に請求がなされると、自賠責保険会社から「損害保険料率算出機構」という機関に、調査依頼がなされます。同機構の調査事務所という組織が実際の調査にあたり、中立の立場で後遺障害等級の有無などの認定を行うとされています。
なお、この機構には、保険ではない「共済」も損害調査を依頼しています(全労済、正式名称は「全国労働者共済生活協同組合連合会」が典型です)。そして、同機構が調査を行った結果は、加害者加入の自賠責保険等から連絡されることになります。
JA共済だけは例外だった
いわゆる「農協」と呼ばれるJA共済は、これまでは、独自の損害調査組織を持っていました。このため、加害者の自賠責がJA共済という場合には、後遺障害の認定申請結果の書式が異なるなど、いろいろな例外がありました。
このJAの損害調査機関については、いろいろな評価があろうと思われます。損害保険料率算出機構と比較して、JAの調査は厳しいといわれることもあります。確かに、独自採算で独自機関を有しているとなると、そのような目を向けられることもありうるところでしょう(統計的に有意な差異があるかどうか、よくわかりませんが)。
JAの審査体制の変更
報道などにより、今後、JA自賠責共済損害調査業務は、損害保険料率算出機構に移管されることが判明しています。このため、今後は、加害者の自賠責がJA共済であろうと、その他の損保会社であろうと、後遺障害などの審査過程に違いはなくなることになります。
これまでに判断の差異があったかどうかは判然としません。とはいえ、今後は、審査プロセス上は、差異が生じることはなくなったといえます。
「加害者加入の自賠責によって結論が変わるかもしれない」という、理屈を詰めた場合に観念しうる妙な状況は、制度上は解消することになります。一般的に、被害者にとっては、よい方向性であるように解されます。
JAの審査体制の変更日程
実際には、平成28年10月から調査態勢の移管はスタートしているようです。そして、平成30年10月までに、全都道府県において移管手続が終了するとのことです。
加害者の自賠責がJAであるという場合には、参考にしていただければ幸いです。なお、加害者の自賠責の社名については、交通事故証明書の記載を確認すればわかることです。
補足
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