交通事故で受傷後に症状が続く場合には、早期にMRI撮影をしておくこと

MRI撮影の重要性

 交通事故の被害者が損害賠償請求をする場合に、MRI撮影の重要性がいわれます。これは何故でしょうか。簡単に書けば、MRIには神経の状態が映るため、神経症状の立証に有用だから、ということになります。

 この内容について、以下で説明します。

MRIの特徴

 交通事故後に整形外科に行くと、一般的にレントゲン撮影が多く行われます。レントゲンは、骨の状態を映す機器です。このため、骨折しているような場合には、その状態が画像ではっきりとわかります。ただし、自動車同士の交通事故の場合、骨折まですることは、比較的まれです

 レントゲンとは別の機械で、MRIというものがあります。レントゲンとは異なり、MRIでは、神経が映ります。そして、重いむちうち症といった場合には、ヘルニアがはっきり映ることも、しばしばあります。非常に優れた医療機器で、性能のよいもので事故直後に撮影すると、炎症個所までわかることがあります。

MRIの必要性

 交通事故による後遺障害で最も数が多いのは、むちうち症による神経症状です。そして、事故後も症状が引かず、治療終了後に後遺障害の認定を目指す場合には、このMRI画像を早期に確保しておくことが、極めて重要となります。MRIにより神経の圧迫状況がわかれば、その事情が、後遺障害の認定にとって、極めて重要な根拠となるためです

 事故後はいろいろと負担感があろうかとは思われます。とはいえ、どうしても症状が引かない場合には、医師に相談のうえ、時間を作ってMRI撮影をしておくべきと考えます。

MRIの撮影の仕方

撮影する病院の確保

 事故後に通院している病院にMRIの機械があれば、そこで撮影してもらえばよいでしょう。ただし、MRIは非常に高額であるため、中小規模の病院、個人医院となると、設置してないことがしばしばあります。また、仮に機械があっても、性能がそれほどよくない可能性もあります。

 適切な機械がない場合は、担当医に紹介状を書いてもらい、大きい病院などで撮影をしてもらいましょう。

MRIの性能を知る目安

 MRIの性能を知るうえで、「テスラ」という単位が有用です。「テスラ」が1未満の場合(0.5テスラなど)には、最新の機械とは言い難いところです。仮に病院に機械が置いてある場合でも、機械の性能が必ずしも高くないという場合には、紹介状を取得の上、大きな病院で撮影することが望ましいです。

保険会社に話を通しておく

 MRIを撮影をする医療機関名と受診予定日がある程度決まったら、その内容を事前に相手方保険会社に伝えておきましょう。当日の撮影費用は相手方保険会社に支払ってもらうべきところ(一括払)、保険会社の事前調整がないと、病院の事務の窓口で混乱するおそれがあるためです。

 医療機関によっては、保険会社の事前調整がないと、撮影自体ができない場合もありますので、要注意です。

MRIが撮影できない場合

 MRIは、閉所恐怖症の方は撮影できません。撮影を行う際に、狭い空洞内で、一定時間動かない状態を維持する必要があるためです。これは機械の性質上、やむを得ないことです。なお、オープンMRIという機器もあるようですが、普及率が高いとは思われないところです。

 また、ペースメーカーを身体に入れているという場合も、MRIの撮影は難しいことがあります。ペースメーカーが誤作動を起こす可能性があるためです。ペースメーカーに対応しているMRIもあるようですので、事前に病院に確認しておくことが重要です。

まとめ

  1. 交通事故後も症状が続くような場合には、早期にMRI撮影をしておくべき
  2. MRIは、神経症状の証明に非常に重要(レントゲンでは足りない)
  3. MRIの撮影をする場合には、加害者の保険会社との協議が重要(一括払対応の場合)

補足

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