解決までの流れ
はじめに
家事事件の事例を紹介します。調停手続を利用して離婚を成立させたものです。事例紹介ページの事案と同様のものです。
事案の概要
依頼者は32歳の既婚の女性です。子供が2人いて、4歳と2歳です。
依頼者の夫は、2人目の子供が生まれた2年ほど前から、週末には家にあまり帰らないようになりました。夫の浮気を疑った依頼者は、外出した夫を尾行することを続けていました。
その結果、ある日、浮気の証拠写真を撮ることができました。
依頼者は夫に失望し、子供を連れて実家に戻ることにしました。夫はいろいろと言い訳を展開して依頼者に帰ってくるように求めました。しかし、依頼者には夫婦関係を修復する意思はなかったため、別居が継続することになりました。
別居から6か月後、依頼者は夫と離婚するため、弁護士に依頼することにしました。
弁護士受任と方針決定
離婚事件を受任後、弁護士と依頼者で事件の進め方を協議しました。夫には離婚の意思はなく、協議離婚は難しいと解されました。また、夫は婚姻費用も未払いであり、任意の交渉を先行させるより、裁判所を利用した早期の解決を目指すことが望ましいと考えられました。
このため、依頼者と弁護士は、裁判所に調停を起こすこととしました。こうして、弁護士が受任後、戸籍などの必要書類を集め、2週間後には家庭裁判所に調停を起こしました。調停の内容としては、以下のものを掲げました。
- 夫と離婚すること
- 2人の子供の親権者を依頼者とすること
- 2人の子供が成人するまで毎月10万円の養育費を支払うこと
- 離婚慰謝料と財産分与を合算して、夫から依頼者に金300万円を支払うこと
- 別居中の婚姻費用6か月分として、夫から依頼者に金70万円を支払うこと
【弁護士受任から2週間】
第1回離婚調停期日
調停の日は、調停提起から1か月後に決まりました。1か月後の調停期日に、依頼者側は依頼者本人と弁護士が、夫の側は夫一人が出頭しました。
調停では、互い違いに調停室に入り、それぞれの主張を調停委員が聞くことになります。夫は、当初は離婚に同意せず、調停を起こした依頼者を非難するような言動も見られました。また、浮気の事実を否定するような発言もありました。
他方、依頼者は、弁護士の助力を得ながら、夫の浮気の事実や、離婚を希望するに至った経緯を、感情的にならずに調停委員に伝えました。夫の不貞行為を把握した調停委員は、依頼者に復縁の意思が全くないことを確認すると、離婚に向けて夫を説得してくれるようになりました。ただし、第1回期日では時間が足りなくなったため、1か月後に2回目の期日を設定し、調停は終了となりました。
【弁護士受任から6週間】
第2回離婚調停期日、事件終結へ
第2回調停までに、夫から依頼者にメールで何度か連絡がありました。依頼者は、「離婚に関する連絡は弁護士にするように」とだけ返信していました。第2回期日になると、夫の姿勢が軟化し、離婚について現実的に対応するようになりました。その理由は、期日外の依頼者の対応もあり、依頼者が本気で離婚を考えていることを認識したためのようでした。
夫は不貞行為を認め、2人の子供の親権も依頼者で構わないと合意しました。ただし、金銭的に余裕がないとのことで、養育費は月8万円、金銭支払いは未払いの婚姻費用の清算分も含めて、合計で250万円にして欲しい、ということでした。また、月に1回は子供と面会させて欲しいということでした。
依頼者は、金銭に関してやや不満はありましたが、弁護士とも協議の上、早期解決のために夫の提案を受け入れることにしました。よって、2回目の調停で離婚成立ということになりました。
最後に、裁判官も交えて合意事項を確認し、調停手続は終了となりました。
【弁護士受任から10週間】
弁護士費用の目安
法律相談費用
30分5,000円(消費税別)を原則とする
弁護士費用
- 着手金:30万円
- 報酬金:50万円(財産分与250万円と将来の養育費月8万円から算定)
補足
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