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交通事故(むちうちなど)の通院頻度は慰謝料額に影響する
交通事故の損害賠償額を算出するうえで、「通院期間全体に対して、どれくらいの日数通院したか」という通院頻度は重要な指標になります。このため、交通事故による症状が残存している場合には、しっかりと医療機関を受診すべきということになります。
慰謝料算出基準について
このとき、必要な通院を我慢すると、慰謝料の算定で悪影響を受けることがあるため、注意が必要です。
以下で具体的に説明します。
なお、まずは手っ取り早く慰謝料額などを計算してみたい方は、以下のリンク先の計算ソフトをご利用ください。
自賠責保険での慰謝料算定
自賠責保険基準では、通院慰謝料は、以下のように定まります。
- 「通院日数×2」と「通院期間」の日数を比較して、小さい方の数字(「治療日数」とします)を出す
- 治療日数に4,200円を掛け合わせて、通院慰謝料とする
具体例
通院期間 | 通院日数 | 治療日数 | 慰謝料額 | 備考 | |
事例1 | 200日 | 60日 | 120日 | 120×4,200=504,000 | 200>60×2 |
事例2 | 200日 | 120日 | 200日 | 200×4,200=840,000 | 200<120×2 |
裁判所基準の慰謝料算定(頚椎捻挫及び腰椎捻挫などの場合)
裁判所基準では、通院慰謝料は、以下のように定まります。なお、平成28年以降で基準の変更があるため、注意が必要です。
以下では、事案の多いむちうちの場合を例に説明します。厳密には、「レントゲンやMRIなどで他覚的所見がない神経症状の場合」などと説明されます。
- 通院が長期にわたる場合、「通院日数×3」と「通院期間」の日数を比較して、小さいほうの数字(「治療日数」とします)を出す
- 治療日数と入院日数を基準に、「別表Ⅱ」の数字を当てはめる
具体例
*「別表Ⅱ」の詳細は、別途説明します。
通院期間 | 通院日数 | 治療日数 | 慰謝料額 | 備考 | |
事例1 | 200日 | 60日(入院0) | 180日 | 890,000 | 180日で別表Ⅱにあてはめ |
事例2 | 200日 | 120日(入院0) | 200日 | 943,300 | 200日で別表Ⅱにあてはめ |
小括
自賠責基準と裁判所基準のそれぞれにつき、通院日数があまり少ないと、通院慰謝料は小さくなってしまうことがあります。
このため、最も高額とされる裁判所基準により慰謝料を求める場合でも、算定根拠となる治療日数が少なければ、大幅な増額が難しくなってしまうこともあります。
望ましい通院頻度について(交通事故、むち打ち)
裁判所基準から導かれる結論
事例が多いむちうちの事案など、頚椎捻挫や頚椎捻挫の場合は、通院日数の3倍と通院期間を比較して、小さい数値を採用することになります。
このため、通院日数の3倍が通院期間を下回らなければよい、ということになります。別の表現をすれば、3日に1回程度通院すればよい、ということになります。
適正な損害額を知る方法
舞鶴法律事務所のホームページでは、交通事故の損害賠償額について、自動計算機を作成しています。この計算機に入力することで、裁判所基準の損害額を、大まかに把握することが可能です。
通院頻度の違いにより、どの程度慰謝料が変わるかも、把握できるようになっています(ただし、平成28年の「赤い本」の基準変更に対応しているため、比較する場合には通院期間を180日以上に設定することをおすすめします)。
ぜひ、ご利用ください。
通院頻度を確保するために
整骨院との併用による方法
病院に3日に1回通院するということは、仕事をしながらという場合には難しいものです。病院は昼間は込み合っていることも多く、診療時間も必ずしも長くないためです。
このような場合は、整骨院との併用を検討すべきです。
整骨院を併用する方法
整骨院を併用する場合には、相手方保険会社に事前にその希望を伝えておくべきです。相手方保険会社に一括対応をさせることで、整骨院への通院を慰謝料算定の基準日数に算入することも容易になります。
ちなみに、整骨院を併用する場合には、病院の医師の同意を求められるケースもあります。このあたりは相手方保険会社の方針や、病院の方針にもよるところです。
なお、整骨院を併用する場合でも、病院(原則は整形外科)にも少なくとも月に2回程度は通院することが望ましいです。
補足
以下のページも、よろしければご覧ください。