解決までの流れ
はじめに
本サイト中の事例紹介のページに、一定程度アクセスがあります。ただし、現在の紹介ページのスタイルだと、事例の追加や編集がやや難しいのが実情です。このため、事例紹介をブログ形式にして、随時追加していく方法に移行したいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。
今回は、債務整理についての事例紹介です。過払金返還請求を行ったものです。事例紹介ページの事案と同様のものです。
事案の概略
依頼者は、自営業を営んでいました。昭和60年ころから、1社のクレジットカードのキャッシング枠を利用し、お金を引き出していました。経営は順調でしたが、経営資金や生活費など、たまにお金が必要になる時に、自分の貯金のような気持ちで借入と返済を繰り返していました。
依頼者も高齢になり、自営業をやめることにしました。いい機会ということで借入金の整理をすることを決め、弁護士に債務整理を依頼しました。
弁護士受任
弁護士は、依頼者の事件を受任後、業者に介入通知を送付しました。
約2週間後、業者から取引履歴(これまでの貸し借りがすべて記録された書面)が送付されました。依頼者には、利息制限法の制限を超えた金利で借入を行っていた時期が長くありました。この本来支払う必要のなかった金利分については、依頼者は払い過ぎの状態でした。新たに本来制限されるべき金利で取引を計算し直すと、借入金はすべて弁済されていたばかりか、むしろ業者に対して払い過ぎだった金額を請求できる状態でした(いわゆる「過払い金」の発生)。
取引が長期だった上、依頼者はしっかりと返済を続けていたため、過払金の額は約700万円に上りました。
【過払金債権額の確定まで、法律相談から約3週間】
業者との交渉
弁護士は、業者が自発的に過払金の全額を返還するよう、強く何度も請求しました。しかし、業者は「会社の決済が下りない」「会社にお金がない」などと繰り返すばかりでした。
具体的な和解の提案を聞くと、過払金の半額の350万円を、今から6か月後に支払う、というものでした。この内容で和解することは困難だったため、弁護士と協議のうえ、裁判を起こすことにしました。
【訴訟提起の方針の決定まで、法律相談から約5週間】
訴訟提起
弁護士は訴状や証拠書類を揃え、依頼者から訴訟委任状を受領しました。弁護士は手続を説明した上で依頼者から改めて同意を得て、訴状を裁判所に提出しました。訴状提出から5日後、裁判所から裁判期日の指定がなされました。裁判は1か月後に行われることになりました。
訴状が届くと、さっそく業者から弁護士に連絡がありました。
その内容は、「400万円を5か月後に支払いたい」というものでした。これまでの和解案とほとんど内容が変わりませんでしたので、弁護士はこれを断りました。
裁判期日
第1回目の期日では、弁護士作成の訴状が陳述されました。他方、業者側(被告)は誰も出頭しませんでした。ただし、業者は期日直前に答弁書を裁判所に提出していました。このため、裁判所は次回期日を指定し、弁護士に業者の主張に対する反論と、和解の可能性の検討を指示しました。
【第1回期日終了まで、法律相談から約10週間】
和解交渉→業務終結へ
弁護士は業者の主張に対する反論を記した準備書面を、裁判所に提出しました。その後、第2回期日直前に業者側から連絡があり、再度の和解案の提示がありました。「550万円を3か月後に支払いたい」という内容でした。弁護士が確認したところ、依頼者はこの和解案を受け入れるとのことでした。このため、第2回期日後に和解契約書を業者と交わし、訴訟は取り下げることとしました。
その後、和解で指定した3か月後に、業者から和解金の支払いがあり、事件は終結しました。
【和解金の受領、事件終結まで、法律相談から約26週間(6か月と2週間)】
費用の目安
- 着手金:20万円
- 報酬金:過払金の20%(本件では110万円、過払金の回収後に清算)
補足
以下のページも、よろしければご覧ください。