【2025年1月最新】子育て関係の手当て、支援金、補助一覧

【2025年1月最新】子育て関係の手当て、支援金、補助一覧

 国や自治体からの給付金制度や、各種の支援制度は、子育て世代やひとり親世代にとって家計の支えとなる重要なものです。現在は、このような制度につき、『こども家庭庁』の設立や『子ども・子育て支援法』の改正もあり、拡充されつつある過渡期といえます。

 そこで、本項では、今後新設される子育て支援制度にも触れつつ、子育て関係の手当てや支援金、補助制度をまとめました。

※以下の内容は、2025年1月時点での確認情報に基づきます。これから施行される制度については内容が変更される可能性があります。

※以下の内容は、あくまで参考までにご活用ください。自治体によっては、記載した内容以外の手当てや補助制度がある場合があります。詳細については、お住まいの自治体の窓口で確認されることをおすすめします。

『こども未来戦略』とは何か?

 子育て関係の手当てをご説明するには、まず、『こども未来戦略』について触れておく必要があります。

 『こども未来戦略』とは、少子化対策や子育て・子どもの養育環境の改善を進めるために、政府が2023年12月に閣議決定した政策方針です。このこども未来戦略に基づいて、今後の子育てへの手当てや、社会的な支援が拡充されていくことになります。

 こども未来戦略については、この詳細が記載されたパンフレットが公開されています。以下に、出典リンクを明記した上で転載します。

出典:「こども未来戦略方針(リーフレット等)」(こども家庭庁ホームページ)(令和6年11月11日に利用)

こども家庭庁は、こどもがまんなかの社会を実現するためにこどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益を考え、こどもと家庭の、福祉や健康の向上を支援…
www.cfa.go.jp

児童手当

 児童手当は、子どもの養育による家計負担を軽減するため、子育て世帯に支給される手当です。毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月(偶数月)に、前月分までの2か月分が支給されます(以前は3か月分を年4回の支給でしたが、2024年10月から制度が変わりました)。

年齢児童手当の額(一人あたり月額)
3歳未満15,000円(第3子以降は30,000円)
3歳以上高校生まで10,000円(第3子以降は30,000円)

 2024年10月から給付内容が以下の点が拡充されました。

  • 3歳未満の子どもがいる世帯への支給額が増額された
  • 支給期間が「中学卒業まで」から「高校卒業まで」に延長された
  • 支給される世帯の所得制限が撤廃された
  • 第3子以降の給付金が、全対象年齢において3万円に増額された

 たとえば、3歳未満の第一子及び第二子の子どもがいるご家庭は、毎月30,000円の支給となります(支給月の2か月分の支払金額は60,000円)。

出産育児一時金

 出産育児一時金は、出産にかかる世帯の経済負担を軽減するための支給金です。健康保険や国民健康保険の被保険者等が出産したときに支給されるものです。

 2023年4月から、それまでの42万円から50万円に引き上げられました。妊娠週数が22週に達しなかったなど産科医療補償制度の対象とならない場合、48.8万円となります。

山梨県甲府市の場合は、以下のような制度となっています。

www.city.kofu.yamanashi.jp

出産応援給付金・子育て応援給付金

 出産応援給付金・子育て応援給付金とは、妊婦した時に(妊娠届出時)、また出産した時に(出生届出時)に給付金が支給される制度のことです。

種類支給内容
出産応援給付金妊婦1人あたり50,000円
子育て応援給付金子ども1人あたり50,000円

 この制度は、出産準備や育児準備の費用を助成するものです。また、こども家庭庁が進める『妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施』事業の一貫として、妊娠、出産、子育てと途切れなく寄り添う相談支援を提供することも、目的の一つとされています(伴走型相談支援)。

 このため、給付金だけでなく、助産師や保健師による訪問産後ケアや離乳食相談など産後のサービスも、この制度により提供されます。

 詳細は、お住まいの地域の自治体にてご確認ください。ここでは、山梨県甲府市の関連ページを、以下にご紹介します。

出典:甲府市HP(https://www.city.kofu.yamanashi.jp/bosihoken/gift.html)
妊娠・子育て応援給付金事業の詳細
www.city.kofu.yamanashi.jp

こども誰でも通園制度【2026年度開始予定】

 「こども誰でも通園制度」は、子どもの通園に関する給付制度です。まだ少し先ですが、令和7年度に制度化し、実施自治体で体勢を作り、令和8年度から全国で制度を開始することになっています。

 この制度は、未就園児を、月あたりの利用可能枠内で、時間単位で預けられる制度です。就労している、していないに関わらず、また理由も問わず利用できるサービスとなる予定です。こども未来戦略に基づいて、新設される制度です。子育て世代の生活しやすさや、働きやすさを実現するために設計された、具体的制度といえます。

 2024年10月の報道によると、「月あたりの利用可能な時間枠」は、子ども1人当たり10時間という案が出されているとのことです。

【フラット35】 子育てプラス

 『フラット35 子育てプラス』は、2024年2月から開始した、住まいの支援制度です。住宅ローンの金利に関するものです。

 この制度も、こども家庭庁が進める「こども未来戦略」の一貫として新設されたものです。子育て世帯や若年夫婦世帯に住宅ローンの金利優遇を行うことで、子育ての金銭的負担を軽くするものです。具体的には、子どもの人数等に応じて一定期間、借入金利が最大年1.0%引き下げられます。

 「フラット35」は、住宅ローンの商品名です。運営の主体は、独立行政法人住宅金融支援機構(以前は住宅金融公庫といわれていました)となります。独立行政法人というのは、国とは別の法人格になるものの、国の機関が所管し、単純な利益追求を目的としない公法人のことを指します。このような法人の性質上、フラット35には、自己資金がなくても審査が通りやすく、固定金利で借りられるという特徴があります。このため、多くの方が住宅ローンの借入の際には利用しています。

 なお、実際のローン借入業務は、各金融機関で行われています。このため、銀行の商品というイメージを持つ方もいるかもしれません。

障害児福祉手当

 障害児福祉手当は、身体や精神に重度の障害を持つ児童に対して支給される手当です。日常の生活で常に介護を必要とする在宅の20歳未満の方に支給されます。支給額は、月に15,690円です。

 障害児福祉手当は、原則として毎年2月、5月、8月、11月に、それぞれの前月分までが支給されます。

 また、受給資格者(重度障害児)の前年の所得が一定の額を超えるとき、もしくはその配偶者又は受給資格者の生計を維持する扶養義務者(同居する父母等の民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上であるときは、手当は支給されません。

以下は、2024年11月時点の情報となります。詳しくは住所地の市区町村の窓口にご相談ください。

1 目的
重度障害児に対して、その障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給することにより、特別障害児の福祉の向上を図ることを目的としています。

2 支給要件
精神又は身体に重度の障害を有するため、日常生活において常時の介護を必要とする状態にある在宅の20歳未満の者に支給されます。

3 支給月額(令和6年4月より適用)
15,690円

4 支払時期
障害児福祉手当は、原則として毎年2月、5月、8月、11月に、それぞれの前月分までが支給されます。

5 所得制限
受給資格者(重度障害児)の前年の所得が一定の額を超えるとき、もしくはその配偶者又は受給資格者の生計を維持する扶養義務者(同居する父母等の民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。

扶 養
親族等
の 数
受給資格者
本   人
受 給 資 格 者 の
配偶者及び扶養義務者
所 得 額(※1)参考:収入額の目安(※2)所 得 額(※1)参考:収入額の目安(※2)
0
1
2
3
4
5
3,604,000
3,984,000
4,364,000
4,744,000
5,124,000
5,504,000
5,180,000
5,656,000
6,132,000
6,604,000
7,027,000
7,449,000
6,287,000
6,536,000
6,749,000
6,962,000
7,175,000
7,388,000
8,319,000
8,586,000
8,799,000
9,012,000
9,225,000
9,438,000

※1 所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額です。
※2 ここに掲げた収入額は、給与所得者を例として給与所得控除額を加えて表示した額です。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/hukushi.html

特別児童扶養手当

 特別児童扶養手当は、身体や精神に障害を持つ児童を家庭で養育、監護している保護者に支給される手当てです。障害児福祉手当は児童本人に支給されるのに対し、特別児童扶養手当は保護者に支給されるという違いがあります。

 以下は、2024年11月時点の情報となります。詳しくは住所地の市区町村の窓口にご相談ください。

1 目的
精神又は身体に障害を有する児童について手当を支給することにより、これらの児童の福祉の増進を図ることを目的にしています。

2 支給要件
20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に支給されます。

3 支給月額(令和6年4月より適用)
1級 55,350円
2級 36,860円
4 支払時期
特別児童扶養手当は、原則として毎年4月、8月、12月に、それぞれの前月分までが支給されます。

5 所得制限
受給資格者(障害児の父母等)もしくはその配偶者又は生計を同じくする扶養義務者(同居する父母等の民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。

扶 養
親族等
の 数
受給資格者
本   人
受 給 資 格 者 の
配偶者及び扶養義務者
所 得 額(※1)参考:収入額の目安(※2)所 得 額(※1)参考:収入額の目安(※2)
0
1
2
3
4
5
4,596,000
4,976,000
5,356,000
5,736,000
6,116,000
6,496,000
6,420,000
6,862,000
7,284,000
7,707,000
8,129,000
8,546,000
6,287,000
6,536,000
6,749,000
6,962,000
7,175,000
7,388,000
8,319,000
8,586,000
8,799,000
9,012,000
9,225,000
9,438,000

※1 所得額は、地方税法の都道府県民税についての非課税所得以外の所得等から、医療費控除、障害者控除及び寡婦控除等の額を差し引いた額です。
※2 ここに掲げた収入額は、給与所得者を例として給与所得控除額を加えて表示した額です。

6 支給手続
住所地の市区町村の窓口へ申請してください。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/huyou.html

乳幼児や義務教育就学児の医療費制度

 国の医療制度では、子どもの医療費につき、義務教育就学前(未就学児)は2割負担、小学生以上は3割負担とされています。とはいえ、ほとんどの市町村が、子ども医療費の自己負担額分について、何らかの助成を行っています。地域によって、「小児医療費助成」、「子育て医療費助成」、「乳幼児医療助成」など、名称が異なるので、ご注意ください。

 たとえば、神奈川県横浜市では、0歳〜中学3年生までの子どもの入院・通院などの医療費の「保険診療の自己負担額」につき、親の所得に関係なく全額助成されます(横浜市「小児医療費助成制度」)。

 また、山梨県甲府市でも、0歳から高校3年生相当の年齢までの子どもが病気・怪我で保険診療を受けた場合、「治療費や投薬費の一部自己負担金」や入院時の「食事療養標準負担額」が助成されます。(甲府市「すこやか子育て医療費助成」)

 厚生労働省の調査では、小学生までならほぼ100%、中学生まででも96%以上の市町村が、医療費助成を提供しているとのことです。少子化対策やこども未来戦略の決定などを背景に、助成内容や対象年齢を拡充する自治体が増えているといえます。

子どもが3人以上で大学無償化【2025年度からの予定】

 「扶養する子ども」が3人以上の家庭では、世帯の所得制限なしに子ども全員が大学無償化(入学金、授業料の無償化)になる助成制度が決定されました。大学、短大、専門学校が対象です。6年制の医薬学部は6年間無償化を受けられます。ただし、大学院は支援対象外です。

 2025年度から導入される予定です。

大学の種類無償化内容
国立大学(一人あたり)年間54万円まで×4年=216万 + 28万円(入学金)
私立大学(一人あたり)年間70万円まで×4年=280万 + 26万円(入学金)

 ただし、多くの場合、子どもが大学を卒業すると就職し、親の扶養から外れることになります。そうなると、例えば子どもが3人いる世帯につき、就労などにより長男や長女が親の扶養から外れると、残る2人の子どもが無償化対象から外れるという問題が起こりえます。そうなると、2人目からの教育費の負担は、家庭にのしかかることになります。このような問題についても、今後議論されることが予想されます。

ひとり親世帯への手当て

 ここからは、ひとり親世帯への手当てについて解説します。

児童扶養手当

 児童扶養手当とは、シングルマザーやシングルファーザーといったひとり親世帯*に対して、養育者の生活安定と自立促進、子どもの福祉増進を目的に、自治体から支給される手当です。

 ひとり親世帯は、支給条件の所得限度額の対象なら、児童扶養手当が支給されます。児童扶養手当法改正により、令和6年11月に所得限度額が引き上げられ、第3子以降の加算額が増額されました。

*父か母と生計を同じくしていない子どもがいる家庭

支給額
手当額(月額)45,500円~10,740円
加算額児童2人の場合 10,750円~5,380円
児童3人目以降、1人あたり6,450円~3,230円

 手当には「全部支給」と「一部支給」があります。どのような支給になるかは、前年の所得によって決まります。その基準となる所得限度額が、今回(R6年11月)引き上げられたということになります。

出典:児童扶養手当について(こども家庭庁、https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate)

 例えば、子どもが一人なら、全部支給となる前年所得は、160万円から190万円に引き上げられます。「前年所得」には、養育費の8割相当分が含まれます。一定の控除も受けられる場合もあるので、具体的な決定の詳細ついては、市役所などのお住まいの自治体の窓口に確認すべきといえます。

児童扶養手当の受給に連動した支援策の要件緩和【予定】

 ひとり親の経済的支援を拡充するため、所得が上がり、児童扶養手当を受給しなくなった世帯でも支援策の利用を継続できるような制度を、こども家庭庁が検討しているとのことです。

 具体的には、所得が上がって手当の受給対象から外れた場合、これまでは、児童扶養手当の受給に連動した就労支援(自立支援プログラム、高等職業訓練促進給付金、自立支援教育訓練給付金、ひとり親家庭住宅支援資金貸付事業)が受けられませんでした。このような就労支援の要件緩和を行い、1年間をめどに修了支援制度が利用可能になるような改正が予定されているとのことです。

児童育成手当【東京都内のみ】

 児童育成手当とは、シングルマザー、シングルファーザーなどのひとり親世帯に対し、子どもの福祉増進を目的に支給される手当です。東京都独自の制度となっています。

 「児童扶養手当」は、受給者と同居の扶養義務者に対して所得制限が設けられています。これに対して、「児童育成手当」は、受給者のみの所得制限が設定されています。よって、所得制限が児童扶養手当よりも高く設定され、受給対象になりやすい手当てということがいえます。

ひとり親家庭住宅手当

 ひとり親家庭住宅手当は、ひとり親世帯の家賃に対して、一定の金銭的手当てを支給する制度です。

 たとえば、千葉県浦安市では、20歳未満の児どもを養育するひとり親家庭で、以下の所得制限限度額を満たす場合、家賃1万円を超えた額に対し、月額1万5,000円を限度に住宅手当が支給されます。

 ただし、自治体によって制度の有無や支給金額が異なります。具体的な制度内容については、お住まいの自治体に確認することをおすすめします。

扶養する子どもの数本人の所得額
0人192万円
1人230万円
2人268万円
3人306万円
4人344万円
https://www.city.urayasu.lg.jp/kodomo/kosodate/teate/1000824.html

ひとり親家族等医療費助成制度

 ひとり親家庭等医療費助成制度とは、ひとり親自身やその子ども、両親がいない子どもの養育者が、病気やけがで医療機関を受診したときに、診療費及び療養費を助成する制度です。なお、制度を利用するためには、所得制限があります。

 山梨県甲府市の場合は以下です。

 他にも、「ひとり親家庭への資格取得支援・就業支援」、「ひとり親家庭への小中学校入進学祝金」、「ひとり親家庭への日常生活支援」、「自立支援センターによる支援」など、ひとり親世帯への支援には様々なものがあります。ただし、自治体により支援内容が異なるので、詳細については自治体の窓口にて確認することをおすすめします。

 以下は、山梨県甲府市の場合のひとり親世帯への支援一覧となります。

www.city.kofu.yamanashi.jp

 以上、「子育て関係の手当て、支援金、補助一覧」についてでした。よろしければぜひご参照ください。