交通事故に備えて、ドライブレコーダーを設置しておく

映像の確保の重要性

典型的に争いになる、「青青主張」のケース

 交通事故事件において、事故態様に争いが出ることがあります。典型的なケースは、「青青主張」と言われるものです。信号機のある交差点内の衝突事故で、お互いに自分の進行方向の信号が「青だった」と主張するケースです。

 信号機の異常や設定ミスがなければ、交差道路の信号機両方が「青」ということは、あり得ません。このため、どちらかの言い分は真実とは反していることになります。とはいえ、これを確定することは、容易ではありません。

「青青主張」の原因

 「青青主張」がなされる理由としては、以下のものが考えられます。

  1. 自分の過失を認めたくないためのウソ
  2. 信号は見ていなかったが、青だったと信じている
  3. 青かどうかははっきりしないが、思い込みなどで記憶が「青」と凝り固まっている

 厄介なのは、2,3のように、真実はどうあれ、「青だったと信じている」というケースです。こうなると、悪気がないだけに、真実を確定することは極めて困難です。おそらく、裁判になっても結論は出てこないでしょう。「真実はわからないから、過失割合は5:5で和解してほしい」などと裁判官に言われることもあります。

 事故の事実は揺るがない一方で、事故態様が確定できない以上、これは仕方がないことです。

映像に真実を語ってもらう

 青青主張であっても、ドライブレコーダーの映像が残っていれば、かなりのことがわかってきます。

 まず、映像の撮影時刻が正確に分かれば、信号機のサイクルを正確に調査することも可能となります。信号機の時間に対応したサイクルのデータは警察に管理されていて、調査をすれば情報として出てきます。

 とはいえ、信号機をイメージしてもらえばわかるかと思われますが、分単位の事故時刻の特定では足りません。秒単位までの特定が必要です。そうなると、当事者の記憶ではない、映像の時刻表記が極めて有用となります。

 また、レコーダーの映像に信号機が映っていることも充分にありえます。モノクロの映像でも、明暗や明滅場所等で信号機の状況は特定できる可能性があります。

客観的な証拠が重要

 人間の記憶は、アテになりません。一昨日の夕飯を正確に覚えている人が、何人いるでしょうか。事故のような衝撃的な記憶だと、知らず知らずのうちに、自分に都合のよい記憶に改ざんされることもあります。

 他方、映像には思い込みはありません。実際には、映像も改ざんの余地はありますし、光の加減で真実に反した内容になることもあります。とはいえ、一般的に、映像があれば、人間の記憶に比較してかなり正確な情報を得ることができるといえます。

ドライブレコーダーの用意

利用しやすくなったドライブレコーダー

 ドライブレコーダーは、新車や中古車を購入する際に、オプションで付けてもらうことができます。また、カー用品店に行けば、本体価格と設置費用で車両に後付けすることが可能です。一昔前は高価でしたが、現在は本体価格も安価になってきています。カメラも高解像度になっていて、証拠として必要十分なスペックのものが増えているといえます。

映像が誰かの助けになるかもしれない

 ドライブレコーダーは、自分が事故に巻き込まれたときは、真実を探求する際に大きな助けとなるものです。万が一の事故のことを考えれば、ぜひとも設置しておきたい機器です。

 他にも、ドライブレコーダーにより、いろいろなケースに対応できるといえます。

 まず、当て逃げの被害に遭った場合です。相手方の車両情報が映像に残っていれば、逃げた車両を警察に追跡してもらう際にも、大きな助けとなります。また、自分の車の近くで他に事故が起きた場合にも、映像を提出することができるかもしれません。真実がわかれば、事故当事者から感謝されるのではないでしょうか。それ以外にも、他の犯罪の目撃証拠となる可能性もあります(窃盗犯が道路を走って逃げている映像がたまたま映った、など)。

 このように、ドライブレコーダーは、自分のためのみならず、誰かの助けになる可能性を持っています。

記録の保存期間に注意

映像には、保存期間がある

 ドライブレコーダーは、内蔵メモリーやメモリーカードに録画データを上書きしながら、運転時の映像録画を行うことが一般的です。このため、事故の際の映像が記録されていても、放っておくと新しい映像に上書きされて消えてしまいます。

 グレードの高いレコーダーになると、車両の衝突に反応して、その時間前後の記録を別に保存してくれる機能を持っているものもあります。とはいえ、安価な機器の場合、映像の区別なく上書きされてしまうこともあります。

 いずれにせよ、事故に遭った場合は、早期にメモリーを確保しておくことが重要です。特に、他の事故を目撃したという場合には、自分の車に衝撃はない以上、どのような機器でも映像は上書きされていきます。レコーダーが役に立ちそう、ということになったら、まずはデータを確保しておくことが重要です。

まとめ

 今回のまとは、以下のとおりです。

  1. 事故に備えて、ドライブレコーダーを設置したい
  2. ドライブレコーダーの映像が、他の事故や犯罪の解決の助けになるかもしれない
  3. レコーダーが役に立ちそうなときは、早めにデータを保存しておく

補足

 以下のページも、よろしければご覧ください。

交通事故

交通事故に遭う前からの備え