成年後見人の横領事案
先日、成年後見人の弁護士が被後見人の財産を使い込んだ事案が刑事手続となり、東京地裁で懲役5年の実刑判決が出されました。
着不金額は約4,200万円ということで、被害金額や、弁護士という専門職が後見人に就任していたにも関わらず横領に及んだという事案の社会的影響を考慮して、実刑判決としたのでしょう。
残念ながら、弁護士によるこの種の事案は後を絶ちません。昔から横領事案はあったようですが、成年後見制度の本格化を受けて、成年後見事件も増加する中、このような横領事案も増加傾向にあるように感じます。
成年後見人と弁護士
一般論として、お金があるところに、常に着服があります。
他方、弁護士であれば、法律知識は一定水準以上のものが担保されているものと考えられます。そうであれば、弁護士は、専門職後見人として、適切な有資格者であると思います。
かつてのように多くの弁護士が豊かであれば、このような犯罪も相対的に少なかったかもしれません。しかし、今後弁護士が増員され、それに呼応するようにこの種の犯罪が増加するようになると、裁判所から弁護士を成年後見人として選任することを嫌がられるおそれがあります。
そのような展開は、弁護士業界にとって業務を失う損失であると同時に、社会的にも大きな損失であると思われます。
となると、弁護士の業務として成年後見制度に関与していくためには、裁判所の監督強化や判決の重罰化が進行するのは、避けられない流れかもしれません。弁護士自治にも掉さすような流れともいえ、率直に、嫌な傾向であると考えます。