プロ野球でおなじみの、契約更改とは何だろう

更改とは

ほとんどなじみのない契約・更改

 プロ野球でおなじみの「契約更改」というものがあります。民法では、513条から518条までの6条にわたり規定されています。条文の数としては少なく、民法制定から追加された枝番号などもなかったはずです。このような実態が、実務上更改契約が使用されてこなかった状況を示しているともいえます。

 更改が契約法において占める重要度は、あまり大きくないとも表現できるでしょう。

民法第513条(更改)
 当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する。
 条件付債務を無条件債務としたとき、無条件債務に条件を付したとき、又は債務の条件を変更したときは、いずれも債務の要素を変更したものとみなす。

更改契約の要素

 更改とは、既存の債権の要素を変更し、従前の債権を消滅させ、新たな債権を成立させる契約のことです。重要な点は、旧債務の消滅と、新債務の発生にあります。実際には、債権譲渡が広く使用されている実務においては、旧債務が消滅することで担保権も消滅することになるなど、債権者にとって不利で硬直的な運用が求められてしまう更改は、使いにくいものといえます。このため、あまり使われない契約類型になっているものといえます。

プロ野球における「契約更改」

プロ野球の運用

 プロ野球の契約更改は、毎年11月ころから翌年2月のキャンプインまでの期間で行われることが多いものです。プロ野球のイメージでは、更改とは契約関係のうち、金額だけを増減させるものと考えられるかもしれません。ただし、実際には、更改では金額以外のものも変更可能です。例えば、契約期間を変更し、複数年契約を締結したり、出来高払いの合意をすることも可能です。

プロ野球の運用は「契約の更新」というべきもの

 更改契約においては、債権者や債務者の変更すら可能です。プロ野球でいえば、更改により選手が所属球団を変えることも、理論上は可能です(債権者の交代)。また、球団が更改により同じ年俸などで別の選手と契約することも、理論上は可能です(債務者の交代)。他にも、お金の支払いではなく、物納で年俸を支払う方法で合意することなども可能です。
 しかし、更改契約で例えば債務者(選手)が変わってしまっては、球団としては契約をする意味がありません。このように、プロ野球における契約更改は、債権者や債務者の変更を意味しないものです。同一選手との契約の継続を互いに意図しつつ、その金額や期間のみの協議を行うものというべきです。
 これは、更改というよりは、「契約の更新」と表現すべきものでしょう。すなわち、プロ野球でいわれる「契約更改」は、民法が用意している「更改」の内容とは、相当異なったものといえます。

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執筆・監修: 弁護士 斉藤 圭

執筆・監修: 弁護士 斉藤 圭

弁護士(登録番号:42442)。所属団体:山梨県弁護士会。地元山梨で舞鶴法律事務所を営んでいます。 実務年数15年で、交通事故事件約500件、債務整理事件約500件(いずれも訴訟対応案件を含む)のほか、離婚問題や相続問題など、いろいろな事件に対応しています。法的なトラブルやお悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。