遠方への出張

弁護士と出張

県内支部などへの出張

 弁護士の業務上、遠方への出張を行うことがあります。

 最も多いのは、山梨県内の裁判所支部等への出張です。山梨県の場合、甲府地方裁判所の本庁以外に、以下のような甲府市から離れた場所の裁判所があります。

  • 甲府地方裁判所都留支部
  • 鰍沢簡易裁判所
  • 富士吉田簡易裁判所

県外への出張

 山梨県内の支部等以外に、山梨県以外の都道府県にある裁判所に出頭するために、出張が必要なケースがあります。

 最も行先で多いのは、東京の裁判所であると思われます。依頼者が東京地方裁判所に訴えを提起されたような場合や、甲府地裁で行われた裁判に不服がある場合に、東京高等裁判所に控訴を提起して、裁判所にも出頭する、というケースが考えられます。

 他にも、隣接する県での裁判の出頭のため、出張が必要ということがあります。

裁判手続の原則

直接主義と口頭主義

 裁判手続の原則は、当事者が、裁判官に対して、「口頭で」、「直接」、主張を伝える、というものです。このような原則を、民事訴訟法の教科書では、「口頭主義」、「直接主義」と表現しています。

 このため、主張の量や質に関わらず、当事者は、裁判期日に、事件の係属している裁判所まで出頭しなければならないというのが大原則です。このような手続の煩雑さを回避することに弁護士委任の大きな目的がある、とも言えるものです。

 このため、裁判所への出頭について、担当弁護士が「面倒だ」と言ってはいけないところです。

やや形骸化したきらいのある直接主義と口頭主義

 口頭主義や直接主義は、弁護士が介入した事案だと、やや形骸化してしまう傾向があります。

 というのも、弁護士が民事訴訟に関与する際には、事前に主張書面や証拠の写しを裁判所や相手方に提出していることが通常であるためです。こうなると、裁判での手続は、書面の確認という意味合いが強くなり、丁々発止法廷でやりあうというような、テレビドラマのような展開は多くない、というのが実情です。

 このような都合上、主張が少ない場合や、そもそもこちらが主張を展開する順番ではないとき(反論待ちだった場合など)で、二言三言で裁判期日自体は終了してしまうような場合には、移動の意味を疑いたくなるときもあります。とはいえ、裁判官としても、顔を見ながら裁判手続きを進めたいというのが本音のようで、そうなると、出頭をないがしろにすることはできないでしょう。

出張の際の楽しみ

 結局、出張が不可避であれば、これを楽しむべきといえます。このような考え方は、多くの出張族の方と同様かもしれません。

 例えば、出張先の場所の名物や食事を楽しむ、というのが定番でしょうか。そして、食事などでよい物にめぐり合えると、出張に率先して行きたくなるようなこともあります。

 やはり、何事も出会いと縁で違ってくるという思いです。