青色LEDに関するノーベル賞受賞の報道に思うこと

 ノーベル物理学賞を日本人3名が受賞しました。実用的な青色発光ダイオードの開発が受賞理由のようです。
 この3名のうち、中村修二氏については、法曹関係者にも知名度が高い人物です。
 青色発光ダイオードに関する特許につき、中村氏の所属していた会社との間で、その帰属や金銭的評価が問題となった訴訟が展開されたためです。
 第1審で会社に200億円の支払いを命ぜられ、控訴審では8億4000万円の和解が成立した裁判で、著作権法の論点のみならず、多くの議論を起こした事件でした。

 メディアでは、中村氏の一部の発言が「エキセントリックな研究者」というレッテル貼りに使われたように記憶しています。
 出る杭を打ちたがる日本の基本的慣習にあって、中村氏にあまりいい印象を持たなかった方も多くいたものと想像します。
 しかし、その発明はやはり超一級であることが、今回の受賞により満天下に示されることとなりました。
 このような受賞がなくとも、現在の青色LEDの普及ぶりを見れば、その事実は容易にわかることです。
 とはいえ、今回の受賞により、非常に強力な証明がなされたように思います。

 中村氏は、結局米国に行ってしまいましたが、このような優秀な研究者を抱えておけない日本のアカデミズムやその周辺の状況には、大いに疑問符が突きつけられるべきでしょう。
 ニューストピックスを眺めると、ノーベル賞関連のもの並んで、小保方氏の学位の処遇に関わる報道があります。
 日本のアカデミズムの足元の脆さを感じる象徴的な光景にも思えます。