B型肝炎訴訟による給付金請求

B型肝炎訴訟・B型肝炎に関する給付金とは

B型肝炎とは

 B型肝炎とは、「B型肝炎ウイルス(HBV)」に感染することで発症する肝炎のことを指します

 日本国内におけるB型肝炎ウイルスの保有者(キャリア)は、約150万人いるとされています。多くの場合で自然治癒するものの、肝炎を発症することもあります。肝炎を発症すると、肝硬変や肝がんといった重篤な疾病へと進行することもあります。

日本国内でB型肝炎のキャリアが増えた理由

 日本国内では、集団予防接種等(予防接種及びツベルクリン反応検査)を実施する際に、注射器等(注射針や注射筒等)の連続使用が行われたことにより、感染が蔓延したものと理解されています。

 B型肝炎給付金請求訴訟に関するガイドラインとなる平成23年6月28日の「基本合意書」によれば、昭和16年7月2日~昭和63年1月27日生まれの方の場合、問題となる予防接種等の対象となっている可能性があるとされています。

B型肝炎に関する給付金とは

 B型肝炎のキャリアが増えてしまった経緯について、「不適切な予防接種等の実施状況を知りながら、これを改善しなかった」日本国の不作為責任が認定された裁判例がありました。

 このような裁判例を踏まえた後の長い時間をかけた訴訟や交渉の結果、裁判所の関与のもと、賠償の枠組みが合意されました。

 この合意内容は、国と被害者が交わした「基本合意書」に記載されています。要するに、「不適切な予防接種等を受けた事実があり、現在B型肝炎のキャリアである事実が特定された方」には、一律で所定の内容の給付金を支払う、という内容になっています。

 もう少し合意内容を補足説明すると、以下のとおりです。

  1. 集団予防接種等によりB型肝炎のキャリアとなった被害者に対して、国は給付金を支払う
  2. 給付金の金額は、症状等による分類で定められた金額とする
  3. 給付金を請求する場合は国に対して裁判を起こしたうえで、国と和解するという手続が必要である

基本合意書(厚生労働省)

B型肝炎訴訟による給付金の概要及び注意点

B型肝炎訴訟による給付金の一覧表

 B型肝炎訴訟による給付金の一覧表は、以下のとおりです。

 国を相手に訴訟を提起し、要件を満たすことで、所定の給付金が支払われます。

1 死亡、肝がん、肝硬変(重度) 3,600万円
2 死亡、肝がん、肝硬変(重度)(除斥期間20年が経過) 900万円
3 肝硬変(軽度) 2,500万円
3 肝硬変(軽度、除斥期間20年が経過、治療中) 600万円
4 肝硬変(軽度、除斥期間20年が経過、治療していない) 300万円
5 慢性B型肝炎 1,250万円
6 慢性B型肝炎(除斥期間20年が経過、治療中) 300万円
7 慢性B型肝炎(除斥期間20年が経過、治療していない) 150万円
8 無症候性キャリア 600万円
9 無症候性キャリア(20年の除斥期間が経過) 50万円

給付金の請求期限に注意

 B型肝炎請求訴訟の請求期限は、平成34年1月12日までとされています。この期限は法律に定められているところ、今後延長されるかどうかは不明確です。

 証拠を収集する際にも、あまり過去の情報だと、取得できなくなるおそれがあります。このため、給付金の請求を希望する方は、できるだけ早期に手続を取る必要があるといえます。

B型肝炎訴訟による給付金の請求方法

まずは検査することが重要

 B型肝炎は、ウィルスに感染していたとしても、自覚症状が出ないこともあります。症状が出る前にキャリアであることを把握しておけば、適切な対処により重篤化することを避けられる可能性もあります。

 また、B型肝炎に関する給付金は、不適切な予防接種等の状況が証明できれば、特に大きな症状がない「無症候性キャリア」の場合でも、支払いがありえます。

 このため、昭和16年7月2日~昭和63年1月27日生まれの方の場合、まずは検査結果を知ることが重要といえます。検査の実施については、お近くの保健所や自治体に確認することをおすすめします。

給付金を求めるには裁判手続が必要

 B型肝炎給付金を請求する場合には、上で説明したとおり、裁判手続が必須とされています。

 このため、被害者の方で、裁判を起こす手間を取る必要があります。さらに、この訴訟で国と和解するためには、ある程度煩雑な証拠資料の収集が必要となります。

まずは無料相談がおすすめ

 現在、多くの弁護士事務所が、B型肝炎給付金訴訟に関する宣伝を行っています。無料で法律相談に対応する事務所も、多くあります。

 当事務所でも、事案の性質に鑑み、B型肝炎に関する給付金に関する相談は、初回相談は無料にて対応しております

 B型肝炎給付金訴訟は、率直にいえば、「大きな弁護士事務所でなければ対応できない」という事案ではありません。特に山梨県内にお住まいの方ということであれば、甲府市内の当事務所は、アクセスしやすいものと解されます。

 特に、以下のような事情のある方は、一度法律相談を受けることをおすすめいたします。

  1. 肝がんにり患している
  2. 肝硬変にり患している
  3. B型肝炎にり患している
  4. 肝がん、肝硬変で死亡した人の遺族である

 ご不安のある方は、電話やメールなどでご連絡ください。

弁護士費用・法律相談費用について

法律相談費用

 上記のとおり、初回相談は原則として無料にて対応いたします。その後の相談費用は、30分5,000円(消費税別)を原則とします。

弁護士費用

 取得された給付金額の10%を目安とします(消費税別)。

斉藤 圭

斉藤 圭

弁護士(登録番号:42442)。 所属団体:山梨県弁護士会。地元山梨で舞鶴法律事務所を2012年2月に設立。 交通事故や離婚問題、債務整理などトラブルや悩みを抱えている方は、一度ご相談ください。