自転車の「ながらスマホ」や「歩道走行」で、高校生も処罰対象となります。青切符を弁護士が解説します。

 令和8年4月1日から、いわゆる「青切符」制度(交通違反に反則金を科す、交通反則通告制度)が、自転車にも適用されることになりました。これまでの制度の対象は自動車だけでしたが、これが広がることになります。制度の対象年齢は「16歳以上」です。

 令和8年5月の警察庁の発表によれば、制度が始まって1か月間で、全国の警察が合計2147件の青切符を交付しています。内訳は、「一時不停止」が846件(40%)、「ながらスマホ」が713件(33%)、「信号無視」が298件(14%)、「遮断踏切立入り」が156件(7%)だったとのことです。

青切符の内訳
青切符の内訳

高校生も処罰対象になる

 上記のとおり、この制度の対象は、16歳以上です。よって、高校生でも違反すると検挙され、反則金を支払わなければならないということになります。実際、制度が始まった4月に、長野県内で、「ながらスマホ」を理由として、高校生3人に青切符が交付されました。

そもそも青切符とは何か?赤切符との違いはどのようなものか?

青切符とは?

 これまでは、自転車が道路交通法違反などの交通ルールの違反をした場合には、刑事手続にて処理されていました。とはいえ、刑事手続は取り調べなどの時間的・手続的負担が重く、違反者と捜査機関の双方にとって、多大な負荷となるものでした。かといって、交通違反の多くを占める自転車関連の事案を処罰しないわけにもいきません。このような経緯もあり、違反の取り締まりの必要性と、処分の迅速さを両立することが課題となっていました。

 この課題解決を目指して、反則行為をした場合に、「一定期間内に反則金を納めれば刑事手続を受けずに処理する」という趣旨の「交通反則通告制度」を、自転車にも導入することとしました。これまでにも自動車で同様の制度があったところ、その自転車運転版ということになります。

 この制度で、警察官から現場で交付されるのが交通反則告知書です。上のサンプル画像のとおりです。これが青色なので、一般的に、「青切符」と呼ばれています。

赤切符とは?

 一方で、すべての交通違反が、青切符で済むわけではありません。

 「極めて悪質・危険な違反」や「実際に重大な事故を起こした違反」に対しては赤切符が交付され、刑事処分の対象になります(上のサンプル画像のとおり、こちらは赤色になっています)。この場合、刑事手続による処理が行われることになり、有罪となれば前科がつくことになります。

 自動車運転で言うと、「あおり運転」や「飲酒運転」、「高速道路の50km/h以上の速度超過」など、一発で免停や免許取消になるような極めて危険で悪質な交通違反をしたときに、赤切符(交通切符)が交付されます。

青切符が交付される自転車交通違反の種類・内容

 ここでは、青切符の交付対象となりうる違反の種類と、その内容を説明します。

※黄色い枠のイラストの出典:山梨県警HP「自転車運転者講習の対象となる危険行為」(許可を得て掲載)

一時不停止【反則金5,000円】

 一時停止標識等のある交差点では、停止線があるときはその直前で、停止線がなければ交差点の直前で一時停止しなければなりません(道路交通法第43条)。

 これに違反すると、「指定場所一時不停止等」となり、反則金(5,000円)の対象となります。

ながらスマホ【反則金12,000円】

 携帯電話・スマートフォンを使いながら(通話やスマホの保持、画面の注視)自転車を運転することは、禁止されています(道路交通法第71条第5号の5)。これに違反すると、反則金(12,000円)の対象となります。

 自転車の青切符反則金の中でも、最も高額の反則金額となっています。これは、ながらスマホによる事故が死亡、重傷事故などの重大な事故につながりやすく、処罰や抑止の必要性が高いと判断されているためです。

 仮に、ながらスマホで実際に事故を起こしたり、歩行者の通行を妨害したりするなどして交通の危険を生じさせた場合は、青切符ではなく、「携帯電話使用等(交通の危険)」となり、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

信号無視【反則金6,000円】

 赤信号を無視をしたり、黄色信号で無理に通行しようとすると、「信号無視」となり、反則金6,000円の対象となります。

 自転車は、車道を進行するときは「車両用信号」、横断歩道を進行するときは「歩行者用信号」に従わなければなりません(法第7条)。また、「車両用信号」が黄色になったら、安全に止まれないとき以外は、停止位置を越えて進んではいけません。

遮断踏切立入り【反則金7,000円】

 踏切の遮断機が閉じ始めたときや、警報器が鳴り出した後には、その踏切に入ってはいけないとされています(法第33条第2項)。これに違反すると「遮断踏切立入り」として、反則金(7,000円)の対象となります。

 また、自転車で踏切を通過しようとするときは、踏切の停止線(これがない場合は踏切の手前)で停止して、安全であることを確認しなければいけません(法第33条第1項)。これを怠ると、「踏切不停止」となり、反則金(6,000円)の対象となります。

歩道通行時の通行方法違反【反則金6,000円】

 高速度での走行や、歩行者妨害など危険な「歩道通行時の通行方法違反」は、青切符交付の対象となります。

 なお、歩行者は、歩道等と車道の区別のない道路では、道路右側端に寄って通行しなければならないとされています(道路交通法10条1項)。

自転車で歩道を通行できるのは?

 自転車が歩道を通行できるときについては、道路交通法で、以下のように定められています。

自転車は車道通行が原則ですが、次のようなときは、普通自転車は歩道を通行することができます。

① 道路標識・道路標示で歩道を通行することができるとされているとき
② 13歳未満の方若しくは70歳以上の方又は一定の身体障害を有する方が運転するとき
③ 車道又は交通の状況に照らして、自転車の通行の安全を確保するため、自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき*

* 道路工事や連続した駐車車両等のため車道の左側を通行することが難しいときや、著しく自動車の交通量が多い、車道の幅が狭いなど、通行すると事故の危険があるときをいいます。

出典:【自転車ルールブック】令和7年9月 警察庁交通局 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/pdf/rulebook.pdf

歩道を通行するときのルールは?

(1) 普通自転車で歩道を通行する場合は、歩道の中央から車道寄りの部分を徐行*しなければなりません。 また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなる 場合は、 一時停止しなければなりません。

*徐行とは、直ちに停止することができるような速度で進行する ことをいいます。

(2) 歩道に「普通自転車通行指定部分」が設けられている場合に は、普通自転車通行指定部分を徐行しなければなりません
。
*ただし、普通自転車通行指定部分については、歩行者がいない場合は、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができます。

出典:【自転車ルールブック】令和7年9月 警察庁交通局 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/pdf/rulebook.pdf

飲酒運転

 当然のことですが、飲酒状態で自転車を運伝すると、青切符ではなく、「危険な行為」として、赤切符により処罰されます。

体内のアルコール濃度にかかわらず、お酒を飲んで自転車を運転することが禁止されています(法第65条第1項)。

アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがあるときは、酒酔い運転として、5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が科されます。また、血中濃度が0.3mg/ml又は呼気中濃度が0.15mg/l以上のときは、酒気帯び運転として、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が科されます。

自転車運転者に飲酒をすすめたり、飲酒をした人に自転車を提供したり、飲酒をした人に要求・依頼して自転車に同乗したりする行為も処罰の対象となります。

出典:【自転車ルールブック】令和7年9月 警察庁交通局 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/pdf/rulebook.pdf

自転車の飲酒運転の罰則については、こちらの記事もご参考ください↓

自転車で飲酒(酒酔い)運転。捕まった人(逮捕)、懲戒処分も。罰金、罰則
 平成27年6月の道路交通法改正により、悪質な自転車運転者に講習が義務化されました。  具体的には、自転車の運転者が飲酒運転や信号無視などといった危険行為(違反…
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青切符を悪用した詐欺にご注意ください

 現時点で、青切符を悪用した詐欺が確認されています。警察官を騙って「取り締り」と称し、自転車運転者からお金をだまし取ろうとするものです。

 しかし、制度上、違反者が反則金をその場で払うことはありません。その場で払うように要求されたら、まず間違いなく詐欺です。お金を支払わず立ち去るか、110番してください。

従来の制度に青切符制度が上乗せされた

 平成27年6月の道路交通法改正により、悪質な自転車運転者につき、講習が義務化されました。「悪質な自転車運転」とは、歩道通行時の通行方向違反、信号無視などといった危険行為です。これを違反行為とし、『3年以内に2回以上』行った場合、自転車運転者講習の受講命令を受けることが義務付けられました。

 また、受講命令に違反した場合には、5万円以下の罰金に処せられます。つまり、従来の受講命令・罰金制度に、2026年4月以降は青切符制度が上乗せされた形となります。

1. 違反するたびに青切符(反則金)の対象となるもの

  • 信号無視、ながらスマホなどの違反→その場で青切符
  • 反則金を納付すれば刑事処分は免れる

2. 繰り返すと講習命令(従来の制度)の対象となる

危険行為を3年以内に2回以上検挙された場合

都道府県公安委員会から自転車運転者講習の受講命令が出される受講しなければ5万円以下の罰金講しなければ5万円以下の罰金)

講習時間:3時間、手数料:約5,700円

 青切符の制度について解説しました。免許不要で、だれでも身近に乗れる自転車だからこそ、危険運転について知っておくことが大切といえます。

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執筆・監修: 弁護士 斉藤 圭

執筆・監修: 弁護士 斉藤 圭

弁護士(登録番号:42442)。所属団体:山梨県弁護士会。地元山梨で舞鶴法律事務所を営んでいます。 実務年数15年で、交通事故事件約500件、債務整理事件約500件(いずれも訴訟対応案件を含む)のほか、離婚問題や相続問題など、いろいろな事件に対応しています。法的なトラブルやお悩みを抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。