はじめに
いろいろな局面で、ご自身の財産をどのように管理していくべきか、悩まれることがあるかと思われます。
例えば、ご自身が認知症になったらどうするか、死後にどのように財産を残すか、遺産争いを防ぐにはどうするか、といった悩みを持つ方もいると思われます。また、会社を経営している方でしたら、どのように事業を継承していくか、というお悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
以下では、財産管理に関する、弁護士関与のある代表的な業務をご説明します。
遺言
遺言制度の概略
「遺言」とは、広くは、故人が死後のために残す文言を指します。法律上は、被相続人(亡くなられた方)の意思表示であり、相続財産の分配や、子どもの認知などを行うことができます。
しかし、遺言として法律上の効力が認められるためには、厳格な用件を満たす必要があります。また、例えば自宅に遺言を書置きしていたという場合には、自分の死後に相続人に隠されたり、破棄されるおそれもあります。さらに、「てにをは」一つで財産の移転が困難になることもあります。
弁護士の関与
遺言を残したとしても、必ずしも被相続人の希望が実現しないこともあります。不十分な遺言は、無用の争いの種にもなりかねません。遺言作成を希望される場合には、弁護士と協議することが望ましいものです。弁護士にて財産目録の作成や依頼者の意向確認のうえ、最適な遺言書の文言を決定するためのお手伝いをします。
そして、遺言書保管などの面で心配のない、公正証書遺言の作成を行うことといたします。
成年後見制度など
成年後見制度などの概要
病気や加齢の影響で、判断能力が不十分な方を保護するための制度です。本人に代わり親族や弁護士などの有資格者に権限を与え、裁判所の監督のもと、財産管理を行う手続となります。
ご本人の判断能力の程度により、いくつかの種類があります。本人以外の財産管理を行う者の権限が最も大きいものが「後見」であり、最も小さいものが「補助」となります。その間には、「保佐」というものもあります。
業務内容
判断能力の減退した本人に代わり、財産を管理して浪費を防ぎます。また、例えば自宅での日々の生活に困難があるという場合には、保有財産と照らし合わせて適切な施設選定や入所を実現するなど、本人にとって適切なケアが受けられるように手配する義務も生じるものです。
なお、財産状況や、本人の監護状況につき、定期的に裁判所に報告を行い、指導監督を受けます。
任意後見制度の説明
将来的な財産管理人を選任する手続として、「任意後見制度」というものがあります。将来的に自身の相続人などの間で紛争が予想される場合に備え、あらかじめ判断能力が充分なうちに、財産管理人を選任しておくことができます。本人の判断能力が現実に減退した際に、各種手続きを経て、指定されていた後見人が財産管理を行うことになります。
本人が元気で判断能力がある時に財産管理人を指定できるため、管理権をめぐって本人の知らないところで紛争が起こるおそれを排除できます。また、遺言と併せて、いろいろと財産処分についての希望を残しておくことも可能となります。将来にご不安がある方に、おすすめできる制度といえます。
弁護士の関与
後見等の段階から関与する場合
弁護士は、特に希望がある場合に、成年後見人などに選任されることが多いものです。例えば、親族間に争いがある場合や、一部の親族による使い込みが疑われる場合が挙げられます。このような場合には、問題があると解される親族に対する聴き取りや、訴訟を行うこともあります。
被後見人などに多額の財産がある場合には、信託銀行に金銭を預けるなど、弁護士にて適切な資産管理を行うこともあります。また、後見人として指定されていた場合も(任意後見制度)、裁判所の選任を受けて、職務を行います。弁護士は、親族の協力を得ながら、第三者的な立場で適切な財産管理を行います。
本人の希望により早期に関与する場合
弁護士が早期に関与して、本人の判断能力が充分なうちに、本人から依頼を受けて、財産管理に関与することも可能です。この場合には、まずは財産調査を行い、依頼者の意向調査を行います。そして、遺言などの方法による財産分配の内容を決定しておき、任意後見契約を結ぶなどしておきます。
本人の判断能力が落ちた時点で、任意後見人などとして活動し、本人のサポートを行います。必要であれば、施設選定や入居など、細かい実務の対応をします。本人が死亡した時点でも、遺言執行などの各種手続を担当することも可能です。
弁護士費用
遺言作成の費用
金100,000円を基準とします(消費税別)。ただし、金額や条項により金額は変動します。この費用には、遺言作成の為に必要な法律相談や資料収集といった業務を含みます。
ただし、公正証書遺言の作成を原則とします。公正証書遺言は公証役場で作成しするものですが、この作成手続費用についても、ご負担ただきます。
成年後見などの申立
金20~50万円を目安とします(消費税別)。ただし、想定される業務内容により、金額は変動します。
任意後見契約
ご本人が任意後見制度を利用される場合は、金20~50万円を費用の目安とします。ただし、月額支払いの顧問契約のような形式をおすすめすることもあります。想定される業務の内容により、金額は変動します。