しまむらで土下座を強要した女性が略式起訴となった事件について

「しまむら土下座強要事件」の刑事の扱い

略式起訴による事件終了

 北海道札幌市内にある衣料品店「しまむら」で、店員の対応に腹を立てて土下座を命じた上に、その様子を写真に撮って、twitterを通じてインターネットにアップしていた女性について、裁判手続上の動きがあったようです。平成25年10月25日付で略式起訴となり、罰金30万円の略式命令が出されたとのことです。

 検察の罪名はtwitter上の中傷コメントと写真アップの点に関する名誉毀損罪のようで、土下座の強要に関して強要罪に問うことはしなかったようです。

略式起訴とは

 ちなみに、略式起訴とは、公判を行わずに簡略な手続で行われる刑事手続です。罰金と科料以外の判決はなく、懲役刑などに処することはできません(刑事訴訟法461条)。交通違反や、軽微な喧嘩などの場合に使われることが多い手続です。

 なお、本人の異議がないことが、略式起訴に付することができる条件です(刑事訴訟法461条の2)。このような性質上、略式起訴による略式命令に関して、さらに正式裁判の請求がなされることは非常にまれです。

事件に関する雑感

 個人的には、正式裁判において、本人の言い分を聞いてみたかったところです。この女性について、逮捕当初は自身の行為が犯罪に該当するなどとは夢にも思っていなかったような報道もされていました。

 他方、今回強要罪が不起訴になったのは、「本人の反省」があったためとされています。店員の不手際を謝らせて、正義の使者気分で世直しでもしたつもりになっていたであろう彼女が(勝手な憶測です)、自身の行為が犯罪であると自覚し、本当に反省に至ったのであれば、その経緯にはなかなかのストーリー性があります。裁判などでも質問のしがいがあるところと思われます。

 法廷というのはかなり特殊な環境で、あの厳かな手続を受ける過程で、弁護人も想像していなかった被告人の反省が引き出されることも珍しくありません。公開の法廷でそのようなドラマが展開される可能性がなくなってしまったのは、若干残念な気持ちです。

関連条文について

刑事訴訟法第461条  

 簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。

刑事訴訟法第461条の2

 検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。

2 被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。